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第301話 秋艶88※
腰を上に浮かし指を受け入れている祥悟の表情が、ちょっと辛そうだ。
この体勢をずっと保つのは苦しいのだろう。
男同士の場合は、後ろからの方が楽だ。
智也はいったん指を引き抜くと
「祥。うつ伏せになれる?その格好より、ずっと楽になるから」
興奮しないように必死に抑えてはいるが、息が弾む。声が掠れた。
祥悟はぎゅっと瞑っていた目を開き、眉を顰めた。
「や…っだ。うつ伏せ、だと、……尻の穴…見える、じゃん。…っこの、まんまが、いい」
「大丈夫。見ないようにするよ」
祥悟はむーっと口を噤み、目だけで無言の抗議をしている。智也は苦笑して
「わかったよ。じゃあ、脚を肩の上に乗せてみるからね」
祥悟は拗ねた顔のままで、ぱちぱちと瞬きをした。それを了承の意味と受け止めて、智也は祥悟の脚の裏に両手を差し入れ、ぐいっと掬いあげた。
本当は自分も、後ろからは嫌なのだ。
初めてだから、きちんと彼の顔を見て、身体を重ねたい。
「苦しかったら言ってね」
掬いあげた脚を、自分の両肩に担ぐ。当然のことながら、祥悟の下半身は二つ折になった。遮るもののない彼の雄が、目の前にさらけ出される。祥悟は途端に顔に朱を散らして、脚をバタバタさせた。
「や、…っやだ、」
空いている方の手を必死に伸ばして、自分の股間を手の平で隠す。
「じっとしてて。俺は、君の顔だけ見てるから」
智也はそう言って、祥悟の目を真剣な眼差しでじっと見つめた。
顔を真っ赤にして焦っている祥悟の表情なんて、ものすごく新鮮だ。初めて見るその顔も、可愛くて堪らない。
祥悟はうー……っと唸って、口を尖らせたままぷいっとそっぽを向いた。智也は伸び上がって彼のおでこにそっとキスを落とすと
「いくよ、祥。なるべく力を抜いていてね」
起き上がって祥悟の身体は見ないようにしながら、ローションと一緒に準備していたスキンの袋の端を切り取った。
これをスムーズに装着する練習はしたのだ。
でも緊張のせいか手が震えて、思ったよりスマートには付けられない。
ようやくなんとか装着すると、ローションをその上からたっぷりと垂らした。
ふと、視線を感じて祥悟の顔を見ると、彼の目が脇から覗き込むようにしてこちらの股間を凝視していた。
「え、なに?」
「おまえの、見せて?」
「え……?」
「見せてよ。おまえのソコ」
……それは……ちょっと……恥ずかしいよ、祥
「や、えーと、」
「それ、俺ん中に突っ込むんだよな?ちゃんと見せろってば」
智也はおずおずと彼の脚を少し下におろして、自分の股間が見えるようにした。
見つめる祥悟の目がまあるくなる。
「うわ……デカ……」
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