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第304話 秋艶91※
「…そっか……俺ん中、気持ちいいのか…」
祥悟は不思議そうに呟いた。
「うん。実はちょっと、良すぎて……、イきそうになって、……焦ったんだよ」
智也がそう言って苦笑すると、祥悟はなんだかとても嬉しそうに微笑んだ。
祥悟が浅い呼吸をする度に、中がきゅ、きゅ、っと自分のモノを締め付ける。
ようやく、ひとつに繋がっているのだと実感が湧いてきた。
このまま、ただじっとしているだけでもすごく幸せだ。あまり無理して動かずにいて、後で互いに手で抜きあってもいいのかもしれない。
欲情を吐き出すことよりも、祥悟と深く身体を重ね、混じりあえたことが嬉しい。
今、完全に満たされた気分だ。
智也は下半身をなるべく動かさないようにしながら、祥悟の顔中にキスをした。
額から目蓋、頬や鼻先、そして唇。擽ったそうに目を閉じている彼の、どこもかしこも愛おしくて仕方ない。
突き入れた瞬間の衝撃が薄れ、互いの息遣いも少し穏やかになってきた。繋がりあったその場所は、同じ体温に溶けている。
「祥……大丈夫かい?」
智也が囁きながら頬を撫でると
「だいじょぶ。……な、智也、動かねえの?」
「だって……辛いだろう?君は初めてだし、たぶん、動いたらかなり苦しいよ」
「じゃ、ずっと、このまんまかよ?」
「君に、痛い思い、させたくないんだ」
智也が眉尻を下げてそう言うと、祥悟は口を尖らせた。
「おまえは、動いた方が、気持ちいいんだろ?だったら、そうしろよ」
「でも、祥、」
「もっと、気持ちよく、なれよな、智也」
祥悟はちょっと怒った顔のまま、促すように微かに腰を揺らす。
「……っ。動いて、いいの?平気かい?」
「…っつ、平気、じゃねーし。でも、このまんまじっとしてんのは、やだ」
「無理、しなくても、」
祥悟はさっきより大きく腰をくねらせた。
「ばっか……無理しなきゃ、意味ねーじゃん。せっかく、苦労して、入れたのにさ」
祥悟の動きで、中の襞が複雑にうねる。
智也はきゅっと眉を寄せた。
そんな風に刺激されたら、また昂ってしまう。じっとなんかしていられなくなる。
自分だって本当は動きたいのだ。
祥悟の中を、もっと感じてみたい。
呼吸の度にきゅうきゅうと締め付けてくる祥悟の熱い襞の感触を、もっと擦って味わってみたい。雄としての当然の欲情を、理性の力で必死に抑えつけているのだから。
「ダメ、だよ、煽ったら。……っ、ひどくして、しまうよ?」
祥悟は腰を揺らめかせながら、にっと口の端をあげた。
「ひどく、してよ。もっと、ガツガツ、こいよ。俺は、おまえに、ぐちゃぐちゃに、されたいんだよ。もっと、エロいおまえ、見せろよな」
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