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第306話 秋艶93※

自分の体重がのしかかる今の体勢では、祥悟がやはりかなり辛そうだ。 智也は担ぎあげた彼の両脚を肩から外して、左右に押し広げながら、ゆっくりと突き入れていった。 「んんぅ……っぁ、ぁ、」 さっきより動けるようになった祥悟が、呻きながら身を捩る。浅い位置でいったん止めて、小刻みに揺らしながら腰を回した。 「あっ、あ、……や、ぁっあ」 祥悟の声音が少し変わった。苦しいだけじゃないその響きに、智也はじっと彼の表情を窺いながら腰を揺らす。 ……感じて……きてる? おそらくこの辺りは、さっき指でいじった時に刺激が強すぎて祥悟が嫌がった場所だ。指では辛そうだったが、コレだとどうだろう? 智也は慎重に角度を変えて動いてみた。 「ああっんっ、ん、んあ、あ、ああ…っ」 途切れ途切れにあげる声に、明らかに甘さが加わる。これは、感じている時の彼の声だ。 智也はこの角度のままでじわじわと動き続けた。 さっきから、ひっきりなしに腰の辺りに甘い疼きが走り抜けている。 祥悟を感じさせたくて必死だったが、自分ももう堪らなくなってきていた。動く度に彼の熱い肉壁がきゅうきゅうと締め付けてくるのだ。これは甘い拷問だ。 それでも、自分を受け入れてくれた彼の、悦びに乱れる姿が見たい。自分のセックスで、彼に気持ちよくなって欲しい。 智也は込み上げてくる衝動を懸命に散らして、もどかしい浅い抜き差しを繰り返した。 祥悟の掠れた喘ぎに艶が増していく。それは今まで聴いたどの声よりも、せつなげで愛らしかった。身の内から沸き起こる官能を甘く揺さぶり煽りたてる。 智也は思わず細い吐息を漏らして、ぎゅっと目を瞑った。 今、自分は祥悟を抱いているのだ。雄として彼の身体を愛しているのだ。幸せ過ぎて怖いくらいだった。 「ぁ…っん、と、もや……っ」 小さく自分を呼ぶ声がする。智也は、はっと目を開けて祥悟の顔を見つめた。祥悟は焦点の定まらない濡れた瞳を必死にこちらに向けている。 「祥……。どう?…これ」 「んぁ、……っあ、ぁっは、……ぁ」 「気持ち、いい?」 自分の出す吐息混じりの囁きも、これまで聞いたことがないくらい甘い。 「とも、や、……もっと……」 「もっと?」 「……っ奥……き、て……?」 「これだと、キツい?」 祥悟は蕩けそうな目をして、震えながら首を横に振ると 「い、い…気持ち、ぃい、……っあ、ぁあ…っもっと、こいって、」 もどかしげに身体を揺すり、両手を伸ばしてくる。その手をぎゅっと握ると、智也は彼の望むものを与える為に身体に力を入れた。 ず…、ず…、っと小さく前後しながら、彼の熱い肉壁を押し分けて奥に進む。走り抜ける疼きは止まらなくなっている。智也はキツく眉を寄せ、息を詰めて、思いっきり腰を振りたくりたくなる衝動を必死で堪えた。 ……まだだ。もっと、彼を 愛したい。もっと彼の中を感じたい。もっともっと、自分のモノで感じさせたい。

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