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第307話 秋艶94※
じっくりと祥悟の襞を味わいながら、腰を押し進めていく。さっきは侵入する異物を押し返そうと抗っていたソコは、自分の楔を柔らかく受け入れ、奥へ奥へと引き込もうとしていた。
……ああ…っすごい…っ
気持ちよすぎて頭が煮える。
ダメだ、抑えが、きかない。
智也の額から汗が滴り落ちる。押さえ込んだ祥悟の手も、汗でしっとりしていた。
智也は突き上げてくる歓喜と本能的な悦びに、息を弾ませながら呻いた。
「…っ祥、だめ、だ、そんなに、締めない、で…っ」
中が複雑にうねってきゅうきゅう締めつけてくる。
これだと、もう、全然もたない。
智也のちょっと切羽詰まった泣き言に、祥悟はうっすらと目を開いた。
「んぅ…っぁ、むり、勝手に、……っつ、んあっ」
祥悟が必死に喋るだけで、また違う振動が伝わってくる。智也は歯を食いしばった。
初めてなのに、醜態は晒したくない。
でもあと少しでも擦ったら、暴発する。
何か別のことでも考えて気を散らしたいのに、自分を見上げる祥悟の顔が色っぽくて可愛くて、目が離せない。
……ああ…っくそっ
傷つけたくなくて、激しい動きをしないように頑張ってきたが、もう限界だ。
「祥、ごめん…っ」
智也は角度を変えて、一気に腰を突き入れた。
「っっっ!」
祥悟が声にならない声をあげる。
我慢しきれない灼熱が、ずずっと一気に奥までめり込んだ。狭くて熱い襞をこじ開けていく感覚は、寒気のするような快感だった。
「…っく…ぅ…っ」
根元まで突き入れた瞬間、腰から背中に電流が走り抜けた気がした。そのまま、抗えずに自分のペニスが一気に膨張して……熱い飛沫を解き放つ。
……あああっ
必死に堪えたが、もう止められなかった。我慢していた反動がさざなみのように押し寄せる。
智也のソコは祥悟の中に完全に飲み込まれたまま、びゅくっびゅくっと断続的な放出を続けている。
頭の中が真っ白に溶けて、もう何も考えられない。
これまで経験したことがないような悦楽の後、一気に気怠さが押し寄せてきて、智也はがっくりと脱力して祥悟の身体に覆いかぶさった。辛うじて潰さないようにシーツに手を突っ張らせているが、甘怠い心地よさに、動きたくない、動けない。
イった瞬間、祥悟のか細い悲鳴のような声を聴いた気がした。
徐々にクリアになっていく視界で、祥悟の表情を確かめてみる。
祥悟は目を見開いたまま、放心していた。その顔に苦痛は見えないが、微妙に焦点が合っていない。
「……祥……?」
嗄れた声が出て、慌てて咳払いした。
「祥……大丈夫……?」
呼びかけに、祥悟の瞳が揺れた。あらぬ場所を見つめていたその瞳が、真っ直ぐに自分を捉える。
「……大丈夫、じゃ、ねーし」
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