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第308話 秋艶95※
祥悟はせつなげに目を細め、手をぎゅっと握ってきた。
「…っおまえ、…っ、イった?」
「…っ。ごめん。我慢、出来なかった」
祥悟は掴んだ腕をぐいぐい引っ張ってきて
「じゃ、…気持ち、……よかったんだ、俺の、なか」
智也は情けない気分で頷いた。祥悟はなんだかすごく嬉しそうに笑って
「な、起きる、…手、貸して?」
「え?」
意味が分からず、智也が目を見開くと、祥悟はふふっと吐息だけで笑って
「おまえ、寝て?…っ俺が、乗っかる」
「……え、えーと、いれた…まま?」
「無理?…っ萎えた?」
実は全然萎えてない。間違いなくイったはずなのに、智也のペニスは気恥しいほど元気いっぱいなままだ。
「いや。…あ、でも、このまま動いて、大丈夫?」
「ん……。起こして?」
促され、智也は繋がったままで、恐る恐る祥悟の腰をぐいっと抱き寄せた。
「…っっんぅ…っ」
杭を打たれたままの祥悟が、足をシーツにつけて踏ん張る。浮いた腰を更に引き寄せると、向かい合った状態になった。
これは……いわゆる対面座位というやつだ。
「んんんっく」
中の楔がぐりゅんっと動いて、別の角度で抉ったのだろう。祥悟はびくびくっと震えて呻き声をあげた。
「っあ、ごめ」
「んっはぁ…っ、寝て、…っとも、や」
はあはあと涙目で荒い息をつきながら、祥悟は肩をぐっと押してきた。その身体を支えながら、智也は慎重に仰向けに寝転ぶ。
「あっは、ぁ…っぁ…」
祥悟のせつなげな顔が自分の上にある。挿入したままで見事に上下が入れ替わって、智也はちょっとびっくりしていた。
「祥……」
祥悟は涙をぽろぽろ零しながら、浅い呼吸を繰り返していたが、やがて弱々しく笑って
「…っんぁ、…っきつ…。っでも、こっちのが、…っ、楽」
言いながら、上半身を屈めて覆いかぶさってきた。
「…っ」
祥悟の濡れた瞳が目の前に迫る。少し苦しげだが、なんて色っぽい表情だろう。
「祥…、っん、」
唇が重なった。
見開いたままの視界がボヤける。
熱い吐息と共にキスが降りてきた。
繋がったままの自分の楔に、甘い熱がこもる。祥悟が息をする度に、収縮する襞がきゅっきゅっと締め付けてくるのだ。
その刺激が堪らなく、いい。
智也は薄く開いた唇に舌を割り入れた。すかさず、祥悟の舌が絡みついてきて、口づけが一気に深まる。
「ん…っふ…ん、ぅ…っ」
祥悟の舌が複雑に絡みついてくる。ペニスを包み込む熱い襞と同じように。
上も下も繋がっている。甘い熱が身内から込み上げてくる。
……ああ…っすごい…っ
悦びにゾクゾクした。こんな深い交わりを自分は知らない。こんなにも今、ひとつに溶け合っているのだ。愛しい天使と。
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