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第310話 秋艶97※
「祥。いくよ…」
自分の口から、気恥しいくらい甘い声が出る。目を潤ませながら自分を見下ろす祥悟と見つめ合いながら、智也はゆっくりと下から突き上げ始めた。
「…っあ、っっあ、はぁ…っ」
奥までは入れない。
たしかこの辺だったはずだ。
ひっきりなしに走り抜ける甘い痺れに陶然となりながらも、智也は彼の腰を固定して、浅めの位置でじわじわと腰を揺らした。
「っっ、んあ…っ」
息が詰まったような声をあげた祥悟が、震えながらいやいやをする。
……ここか。
智也は探り当てたその位置で、己の切っ先をぐりぐりと回した。祥悟の声が大きくなる。必死に堪えようとしているが、動く度に沸き起こる喘ぎ声を止められないらしい。
「祥、っここ、どう…っ?」
「んんぅっあ、は、あぁっ、ああっ」
わざとじりじりと動きを小さくすると、祥悟はせつなげに身を捩りながら目を開いた。さっきまでとは明らかに違う祥悟の悩ましげな表情。
感じてくれているのだ。苦しいだけじゃなく、気持ちいいと思ってくれてる。自分に抱かれて。
智也は興奮した。自分の昂りが更に大きくなったのがわかる。
「ああっ、や、っあ、はぁ…っ」
祥悟の身体がビクビクと跳ねる。智也は腰を掴む手に力を込めて、小刻みに抜き差しを繰り返した。
声を出すまいと、祥悟が必死に唇を引き結ぶ。
……我慢しなくていいよ、祥。もっと聴かせて?
愛しさが溢れて止まらない。
腰の動きを更に激しくしてみる。祥悟は身悶えながら、肩に指を食い込ませてきた。苦しさに萎えかけていた彼の雄がグンとそそり立ち、腰の動きに合わせて揺れている。
自分の上で乱れてくれる天使の嬌態の全てが、智也の熱を煽った。
痛いほど張り詰めた自分のペニスを、祥悟の中がぎゅっぎゅっと締め付ける。
目も耳も身体中が気持ちよくて、どうにかなってしまいそうだ。
「あ、…っや、と、…っも、や…っぁあ…っ」
首を激しく振る祥悟の目から、涙の雫が飛び散った。
「祥、…っく、はぁ、気持ち、いい…?」
「や、…っあ、だ、め、っぁ、あ、」
「…っだめ…?…よく、ない?」
「ちがっ、ぁあ…っ、あう…っ」
祥悟の手が肩から首に滑り、ガシっと両手で顎を掴まれた。そのまま勢いよく彼の顔が近づいてきて、まるで噛み付くようにキスされる。
「…っう、」
「んぅっ」
互いの歯が当たって思わず呻き声が出た。祥悟は荒い息をしながら、唇をこじ開け舌を差し入れてくる。
強烈な密着感に、目眩がしそうだ。
上も下も繋がっている。熱い粘膜に包まれて。
自分の鼻から、まるで獣のような唸り声が出る。祥悟も甘えた猫のような喘ぎ声を鼻から漏らしながら、腰をくねらせ始めた。
……ああっ、すごい……っ
焦らすような腰の動きはもう限界だ。
祥悟の煽りに、智也は一気に余裕を失って、腰のストロークを大きくした。
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