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第311話 秋艶98※
食らいつくように自分の唇を貪っていた祥悟が、こちらの動きに耐えかねたように、ぷはぁっと口づけをほどく。
「っ、んああっ、やっ、やっぁ、あう…っ」
肩に爪をギリギリと食い込ませ、悩ましげな鳴き声をあげて仰け反った。
智也はそのまま更に腰の動きを激しくしていく。
煽ったのは祥悟だ。
もうじっとなんてしていられない。
突き上げる度に、祥悟の身体が自分の上で跳ね踊る。
ギチギチに食い締めた内壁が、うねりながらきゅうきゅうと収縮していた。
智也は息を荒らげながら、小刻みな抜き差しを繰り返した。汗で、細い腰を掴んだ手が滑る。細い腰は悩ましげにくねって、掴もうとするこちらの手から逃げて行く。
鋭い快感が、腰から脊髄へと何度も走り抜けていた。
もう、何も考えられない。
頭の中が白く蕩けて、目の前の祥悟の肢体が霞む。
……ああ、いい…っ。すごい…っ
「あっは、ぁ、あ、っあぁっ」
こちらの動きにつられて上下に揺れる祥悟の口から、艶やかな甘さのこもった嬌声が吹きこぼれた。あんなに声を出すのを悔しがっていたのに、口を閉じていられないのだろう。
気持ちいいのだ。
感じてくれている。
せつなげに見開かれた瞳は宙を惑い、込み上げてくる快感を追って陶然としていた。
喘ぐ声はひっきりなしに零れ落ち、自分の上に降り注がれる。
激しい快感を全身に纏った彼は、クラクラしそうなほど美しくて妖しい。
智也は、霞む目を必死に凝らして、祥悟の媚態をじっと見つめた。
……綺麗だ……綺麗だよ、祥。
今まで何度も際どいシチュエーションになって、こちらの愛撫に乱れる彼の姿や表情は知っていたつもりだった。
でも今、目の前にいる彼は、これまで見たどんな姿よりも、美しく淫らであでやかだった。
これはおそらく、自分だけが知ることの出来た祥悟だ。他の誰も知らない自分だけの祥悟なのだ。
胸の奥底から沸き起こる歓喜に、智也は感極まって目を潤ませた。
ようやく、この腕からすり抜けてばかりいた気紛れな天使を、捕まえた。
「…っ祥。気持ち、いい?…っこれ、どう?」
ゆるゆると腰を揺らし、回し入れてみる。
祥悟は、ぁ、ぁ、っと愛らしく鳴いて、細い眉をせつなげに寄せた。
「ここは?…感じる?」
「ぁ、あっぁ、はぁ、あぅ…っ」
何か言おうとこちらを見下ろす瞳が、なかなか焦点を結ばない。智也が少し動きを止めると、祥悟はほっとしたように大きく息を吐き出して
「と、……も、や…」
ようやく意味のある言葉を絞り出した。
「辛い?ちょっと、キツかった?」
祥悟は潤んだ瞳で瞬きをして、震えながら首を横に振り
「…もち、い…っいい、すげ…っいい」
その言葉に反応して、自分のペニスが更に大きさを増す。
「あうっ」
「あ、ごめっ、君が、煽るから」
祥悟の口からハッキリと気持ちいいと言われて、心だけじゃなく身体も歓喜してはしゃいでいる。
ちょっと情けなくなって、智也が眉尻を下げて謝ると、祥悟の目が楽しそうに煌めいた。
「そこ、謝る、とこ、かよ?…っつか、まだデカく、なるっておまえ、ヤバい、っつの」
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