314 / 349
第314話 君という鎖1※
智也はそのまま彼の身体を優しく抱き寄せて、出来るだけ自分に密着させると、横向きにシーツに寝転がった。
杭を深く咥えこんだままの祥悟が、くう…っと重苦しい呻き声を漏らす。
「ごめん、力、抜いてて、ね」
囁きながら身を起こし、なるべく潰さないようにして身体の位置を変える。
横たわった祥悟の髪の毛が、シーツの上にぱらりと広がった。その両脚を肩に抱え上げ、上からのしかかる。無理な体勢の入れ替えで抜けかかっていたペニスを、もう一度ゆっくりと挿し入れて、智也はほお……っと深く息を吐き出した。
「…っ大丈夫?…辛く、ない?」
眉を寄せぎゅっと瞑っていた彼の目蓋が薄く開く。目頭からぽろりと涙が零れた。
「だい、じょ、ぶ……」
智也はそれを唇でちゅっと吸って
「いくよ…」
囁きながら、腰をゆっくり動かしはじめた。
「んんん、ぅ、んぅ…っ」
最初はゆっくりと。徐々にスピードをあげて。
せつなげに喘ぐ祥悟を、自分の下に閉じ込める。
ビクつきながら複雑にうねる熱い襞に、己の熱を溶け込ませていく。
絶え入るような祥悟の喘ぎと、忙しなく荒い自分の息遣いが、静かすぎる部屋の中に満ちていく。
……祥……祥……祥……
真っ白に薄れていく思考の中で、智也はひたすらその愛しい名を呼び続けた。
……ああ。もう…っ、イく…っ
雄の本能だけになった己の身体が、熱の放出を求めて荒れ狂う。
もう、この狂おしい欲情を吐き出すことだけしかない。
「…っ祥…っ」
「あ、あ、っんあ…っあ……っ」
ググっと最奥まで打ち込んだ瞬間、ぶわっと膨れ上がった熱情が、一気に弾けた。
「くうっっ…っ」
「あああっっ」
悲鳴をあげて、祥悟の身体が激しく痙攣した。
「……祥……大丈夫……?」
くったりとシーツに沈み込んだ彼の上に、気怠い身体を重ね合わせたまま、智也はそっと囁いた。
真っ白に霧散していた意識が少しずつ戻ってくる。
祥悟は弱々しく身じろぎしたて、長い睫毛を揺らした。
「…だい、じょぶ、…じゃ、ねえし……重い…」
怠そうな掠れ声。
「……っぁ、ごめん」
智也は目蓋に優しくキスをしてから、腕に力をこめた。完全にのしかかっていた自分の身体を、少しだけ浮かせると、祥悟がほっとしたように息を吐いて
「…おまえ……すごすぎ……死ぬかと、思った」
途切れ途切れの祥悟の言葉に、智也は息を飲み目を見開いた。
「…っごめ、辛かった?」
「ば…っか、そうじゃ、ねーし。……すっげ、よかった……」
智也は自分を見上げる祥悟のまだぼんやりとした目を、じっと見下ろした。
「よかった…?…祥、気持ち、よかったって、こと?」
「ん……なんか、ヤバかった……」
いつもと違って、祥悟の語尾が弱々しい。智也はまだのしかかったままの下半身を彼の上から外しながら
「え、ヤバい…って……?」
不安に駆られ上擦った声が出てしまった。
途中から、自分の快感を追うだけで精一杯になっていた。祥悟がどう感じているのか、気遣ってあげるゆとりはなかったのだ。
ともだちにシェアしよう!