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第314話 君という鎖1※

智也はそのまま彼の身体を優しく抱き寄せて、出来るだけ自分に密着させると、横向きにシーツに寝転がった。 杭を深く咥えこんだままの祥悟が、くう…っと重苦しい呻き声を漏らす。 「ごめん、力、抜いてて、ね」 囁きながら身を起こし、なるべく潰さないようにして身体の位置を変える。 横たわった祥悟の髪の毛が、シーツの上にぱらりと広がった。その両脚を肩に抱え上げ、上からのしかかる。無理な体勢の入れ替えで抜けかかっていたペニスを、もう一度ゆっくりと挿し入れて、智也はほお……っと深く息を吐き出した。 「…っ大丈夫?…辛く、ない?」 眉を寄せぎゅっと瞑っていた彼の目蓋が薄く開く。目頭からぽろりと涙が零れた。 「だい、じょ、ぶ……」 智也はそれを唇でちゅっと吸って 「いくよ…」 囁きながら、腰をゆっくり動かしはじめた。 「んんん、ぅ、んぅ…っ」 最初はゆっくりと。徐々にスピードをあげて。 せつなげに喘ぐ祥悟を、自分の下に閉じ込める。 ビクつきながら複雑にうねる熱い襞に、己の熱を溶け込ませていく。 絶え入るような祥悟の喘ぎと、忙しなく荒い自分の息遣いが、静かすぎる部屋の中に満ちていく。 ……祥……祥……祥…… 真っ白に薄れていく思考の中で、智也はひたすらその愛しい名を呼び続けた。 ……ああ。もう…っ、イく…っ 雄の本能だけになった己の身体が、熱の放出を求めて荒れ狂う。 もう、この狂おしい欲情を吐き出すことだけしかない。 「…っ祥…っ」 「あ、あ、っんあ…っあ……っ」 ググっと最奥まで打ち込んだ瞬間、ぶわっと膨れ上がった熱情が、一気に弾けた。 「くうっっ…っ」 「あああっっ」 悲鳴をあげて、祥悟の身体が激しく痙攣した。 「……祥……大丈夫……?」 くったりとシーツに沈み込んだ彼の上に、気怠い身体を重ね合わせたまま、智也はそっと囁いた。 真っ白に霧散していた意識が少しずつ戻ってくる。 祥悟は弱々しく身じろぎしたて、長い睫毛を揺らした。 「…だい、じょぶ、…じゃ、ねえし……重い…」 怠そうな掠れ声。 「……っぁ、ごめん」 智也は目蓋に優しくキスをしてから、腕に力をこめた。完全にのしかかっていた自分の身体を、少しだけ浮かせると、祥悟がほっとしたように息を吐いて 「…おまえ……すごすぎ……死ぬかと、思った」 途切れ途切れの祥悟の言葉に、智也は息を飲み目を見開いた。 「…っごめ、辛かった?」 「ば…っか、そうじゃ、ねーし。……すっげ、よかった……」 智也は自分を見上げる祥悟のまだぼんやりとした目を、じっと見下ろした。 「よかった…?…祥、気持ち、よかったって、こと?」 「ん……なんか、ヤバかった……」 いつもと違って、祥悟の語尾が弱々しい。智也はまだのしかかったままの下半身を彼の上から外しながら 「え、ヤバい…って……?」 不安に駆られ上擦った声が出てしまった。 途中から、自分の快感を追うだけで精一杯になっていた。祥悟がどう感じているのか、気遣ってあげるゆとりはなかったのだ。

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