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第315話 君という鎖2

祥悟はまだとろんとした目でうっとりと宙を見つめて 「なんか俺、未知の体験しちゃったし……」 「未知の体験…」 それはそうだろう。祥悟はストレートなのだ。女を抱く経験は豊富だろうけど、抱かれるのは初めてで。 「苦しかった?」 「んー。苦しいっちゃあ苦しいよね。すげえ異物感だしさ、広げられると裂けるんじゃないかってくらい痛いしさ」 「そう……やっぱり痛かったんだね」 智也は祥悟の身体をそっと抱き寄せた。 「でもさ、苦しいのに気持ちよかった。なんかもう、頭ん中真っ白で溶けてたし」 「すごく色っぽくて、可愛い声が出てた」 智也が思わずそう言うと、祥悟はちろっと横目で睨んできて 「うっさい。それ、言うな。おまえ、ガツガツ突いてくるからさ、抑えらんなかったんだっつーの」 目元を赤くして盛大に照れるその反応が、びっくりするくらい素直で新鮮だ。 ……可愛いな……祥……。 セックスの後の気怠さと脱力感のせいか、祥悟はすごく眠たそうで、だからいつも以上に幼い雰囲気を纏っている。こういう祥悟を見られるのも、彼を抱いた自分だけの特権なのだろうか。 智也は、じわじわと込み上げてくる喜びを噛み締めた。腕の中でうっとりと微睡む温もりが愛しい。 こういうのを至福の時と言うのだろう。 不意に、その可愛い温もりがクスクスと笑い出した。 若干、微睡みかけていた智也は、ハッとして祥悟の顔を覗き込む。 「どうしたの?祥」 祥悟は肩を小さく揺らしながら、尚もクツクツと楽しげに笑って、うっとりした眼差しをこちらに向けてきた。 「んー……。やっぱさ。えっちするとちょっと違う感じに見えてくるよな、おまえのこと」 「え。違う……感じ…?」 祥悟はすりすりとこちらの胸に顔を擦り寄せ 「すげえ雄っぽい表情してたもん。腰使ってる時もやらしい顔してたしさ。スキンシップって魔法だよな。うっかりさ、おまえのこと、惚れそうになったし?」 「…っ」 この無邪気な天使は、また突然、何を言い出すのだろう。 心臓が止まりそうになる。 「…し、祥…っ」 「ま、エロいことは前からいろいろしてたけどな。でもやっぱ身体繋げるってさ、特別な感じ、するし」 眠いのだろう。ちょっと呂律が回ってない舌足らずな甘い声で、祥悟は次々と心臓に悪いことを呟いている。 「俺が女だったらさ、絶対におまえに惚れてるかも?あーぁ。やっぱ俺、女に生まれた方がよかったんじゃねーの?」 「祥、あのね、祥、俺は」 ……今度こそ、言ってしまおうか。君が好きだと。初めて会った時からずっと、君のことが好きだったのだと。

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