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第321話 君という鎖8※
最初は緩やかだった動きをだんだん強くしていくと、祥悟の口からは堪えきれない嬌声が漏れ出た。
それは、参考に借りて観たゲイ用のビデオのような、あからさまな声ではない。だが、その吐息混じりの掠れた鳴き声は、じわりじわりと静かにこちらの情欲をそそっていく。
智也は顔をあげて、また前方の鏡を見た。
腰を抜き出る瞬間まで引くと、祥悟はシーツをぎゅうっと掴み締め、こちらを追いかけるように尻を突き出しながら俯く。
逆にゆっくりと奥へ押し入っていくと、白い背中が反り返り、少し高めの喘ぎ声を漏らしながら、首を仰け反らせる。
その瞬間に見える祥悟の表情が、ドキっとするほど淫靡で美しくて、智也は目が離せなくなっていた。
今まで見た彼のどんな顔よりも、蠱惑的でエロティックだ。
……もっと。……もっとだ。
自分の雄で彼を狂わせたい。
まだ見たことのない彼の悦びの表情が見たい。
ただ肌を合わせるだけで幸せだった最初の交わりよりも、貪欲になっている。
「…祥……どう?……いい?」
「ぁぁっ、んぅ…っ、ぁ、ぁ、んぁ…っ」
問いかけに答えようと開いた祥悟の口からは、いっそう甘く艶を増した喘ぎしか出ない。形のいい眉をきゅっと寄せ、悦楽の波を漂っている。
感じさせているのだと実感することで、智也の雄の悦びも増していく。
……ああ……いい……すごい……。
初めてのぎこちない夜に、ここまで気持ちよくなれるなんて、正直思ってなかった。
心と身体の歓びが連動している。満たされた気持ちが、快楽を後押ししているのだ。
……ああ……そろそろ……。
流石にもう、限界だ。彼の中で絶頂へと駆け上がりたいと、熱いペニスが悶えている。
「祥、っ」
智也は呻くように叫ぶと、抜き差しを速めた。
擦りながら揉みくちゃになった楔が、熱の解放を求めて荒れ狂う。
「ああん、っあー、あうっ、あっはぁうっ」
祥悟は仰け反ったまま、激しい喘ぎを撒き散らした。その反応に煽られて、昂りきった欲情が一気に弾ける。
一瞬、目の前が白く霞んだ。背筋を駆け登る激しい快感に息が詰まる。
「…っくぅ……っ」
「あっ、あぁぁーーーっ」
受け止めた祥悟の身体が硬直して、絶え入るような悲鳴をあげた。
びゅくっびゅくっとこれまでにない断続的な放出が、長く尾を引いていつまでも続く。
智也は目の前の白い裸体を、両腕で縋りつくようにして抱き締めた。
前に回した手に、熱い飛沫がかかる。
一瞬遅れて、祥悟の雄も弾けたのだ。
……祥……っ
びくんっびくんと同じリズムを刻みながら、ズルズルとシーツに沈み込む祥悟と、折り重なってひとつに溶けた。
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