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第324話 君という鎖11※

祥悟の眼差しが眩しすぎて、実は内心ものすごく動揺していた。彼の口から自分でも知らない自分の姿を語られるのはちょっと…いやだいぶ面映ゆい。 「昨夜も途中からさ、急にガラッと変わったんだよね、おまえ。めちゃくちゃ雄っぽくなってさ。声とか目の感じとか手つきとかさ」 「祥。ひょっとして、引いた?」 おずおずと聞いてみると、祥悟は目を丸くして 「なんで引くんだよ?男っぽくてヤバかったって言ってんだし。俺が女子なら間違いなくコロッと堕ちてる。おまえってさ、女抱く時もああなんだろうな。普段とのギャップがすごいよな」 ご機嫌な祥悟の唇を、キスで塞ぎたい。 なんだか恥ずかしくてどうしようもない。 ……君が女子なら、俺は君を抱けないよ、祥。 でも君は女子じゃないから、自分に惚れてはくれないのだ。 そう思うとちょっとせつなくなる。 「俺とセックスしたの……後悔してない?」 祥悟の目をせつなく見つめると、彼は柔らかく微笑んで 「その逆。おまえの違う顔見れて、よかったかも。それにさ、エッチ自体は思ってたよりすげえ気持ちよかったしさ」 祥悟はそう言って腕を伸ばして、首の後ろに手を回すと、グイッと引き寄せ唇を奪ってきた。 「んっ」 「ん……ふ…ん、ぅ」 いきなりのディープキスに心臓がドキンッと跳ねる。 ……こらっ、ずるいよ、祥。俺の方がキスしたかったのに。 ザラりとした舌で、歯列を舐められる。ムキになって追いかけた舌を、絡まされてキツく吸われた。 甘怠かった身体がまた性懲りもなく熱を持つ。 ひとつになれたおかげで、祥悟とのキスはセックスそのものだと気づいた。 気持ちよくて触れた場所が溶ける。煽られてムキになるうちに、のっぴきならない気分にさせられる。 智也はかすかに唸りながら、抱き込んでいた彼の脚を、自分の脚でがっちりホールドした。重なり合ったお互いの剥き出しの性器が、腰を揺らすと擦れ合って育ってくる。 キリがない。 またじわじわと疼いてきた。 「んっ、はぁ…っ」 祥悟が首を振って唐突に口づけをほどく。 急に引き剥がされて、思わず逃げる唇を追いかけてしまった。 「ばっか……またエロくなっちゃうし」 くすくす笑う祥悟に、智也は慌てて舌を引っ込めた。 誘っておいて肩透かしを食らわせるんだから、本当にタチが悪い。 「男っぽいおまえっていいな。ゾクゾクする」 祥悟は指でこちらの唇をそっとなぞった。 細い指先が、互いの唾液で濡れた唇の上を揶揄うように滑っていく。唇を見つめている彼の目が、ちょっと寄り目になっていて、無心な子どもみたいな表情がすごく愛らしい。 智也が思わずふきだすと、睫毛が揺れて目をあげた。 「なに、笑ってんのさ?」 上目遣いに向けられた視線は、ハッとするほど艶っぽい。さっきとのギャップにドキドキする。 「ギャップがすごいのは君もだよ」 祥悟はぱちぱちと瞬きして 「んー?俺もいつもと違った?」

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