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第327話 君という鎖14
「専属……?」
掠れ声が出て、慌てて唾を飲み込む。
「そ。俺の専属な、おまえ。女の子抱いてもいいけど、男は俺だけ」
……それは……もちろん、そうするつもりだ。他の男の子なんか抱く気はないよ。……女の子もだけど。
「じゃあ君も、俺以外の男には」
「うん。おまえが俺のこと満足さしてくれんならさ、他の男なんか別に興味ないし?」
「っ」
……満足……させてくれるなら……?
それは、どういう意味だろう。つまり……気持ちよくさせてあげるなら、ということだろうか。
智也は思わず、目を泳がせた。
初めて彼を抱いてみて、自分はもちろん満足だったが、祥悟も満足してくれた……と思う。思っていた以上に気持ちよかったと言ってくれた。
でもこれから先、彼を抱く度に満足させてあげなければ、自分はセフレ失格になるのか?
……責任……重大すぎる……。
専属、という魔法の言葉に、一瞬舞い上がってしまった心が、うろうろと惑い始めた。
「おまえ、なんて顔してんのさ?」
祥悟が不思議そうに覗き込んできて、智也は急いでポーカーフェイスを装った。
「嫌なのかよ?俺の専属じゃ」
「いや、そんなことないよ。すごく……光栄だ。君が変な男について行ったりしないなら安心だしね」
「まあね。ホテル行ってから危ねえ奴って分かっても逃げらんねーし。その点、智也だったら無茶しねえって分かってるから安心だよね」
居心地のよい体勢を見つけたのか、祥悟は満足そうにこちらの胸に顔を寄せて大人しくなった。自分の身体にぴったりとハマりこんで身体を丸めている祥悟は、本当に仔猫のようで愛おしくて堪らない。
智也はそっと腕を伸ばして、彼の身体をふんわりと包み込んだ。
なんて幸せな温もりだろう。
思いがけない祥悟の言葉に動揺してしまったが、自分以外の男とは寝ないと言ってくれた。それは震えるほど嬉しい。
祥悟が今まで通り、女の子相手に遊ぶことは止められないが、彼を抱くのは自分だけの特権なのだ。あの可愛い表情も声も反応も仕草も、誰も知らない自分だけの秘密なのだ。
智也は、じわりと目が熱くなってきて、慌てて彼の髪の毛に顔を埋めた。そっと、優しく、柔らかい髪に口づける。
欲張りはしない。
今はこの幸せに思う存分浸っていたい。
祥悟にとって、自分は、ただ1人のオトコ、なのだから。
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