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第328話 君という鎖15
そのまま2人ともいつの間にか眠ってしまって、次に目が覚めると午後2時を過ぎていた。
ゴソゴソと自分の腕の中で愛しい仔猫が動いている。
「目、覚めた?」
「ん。ごめん、起こしちまった。ちょっと喉乾いたから、俺、水飲んでくるわ」
ムクリと身を起こす祥悟の柔らかい癖っ毛は、寝癖がついてあちこち跳ねている。
寝起きの顔すらドキドキするほど愛らしい。ベッドから降りようとする祥悟の腕をそっと掴んで
「祥、君、お腹空いてないかい?」
祥悟はきょとんっと目を見張ると、首を傾げ
「んあー……そういや、腹、減ったかも」
「うん。もうお昼はとっくに過ぎてるからね。俺も一緒に起きて、パスタでも作るよ」
「ん。さんきゅ。あのさ、智也。ガウンかなんか、上に羽織るもんねえかな」
そうだった。2人ともえっちの後でそのまま寝てしまったから、何も身につけていない。
「あー……うん、ちょっと待ってて」
智也は先にベッドから降りると、部屋の奥のクローゼットに向かった。
「おまえってさ、やっぱいい身体だよなぁ」
後ろから感心したような祥悟の声が聞こえて、智也は内心ドキッとした。
見られている。祥悟に。
後ろに視線を感じる。
「…そうかな。ごく普通だよ、たいして鍛えてるわけじゃないし」
智也は答えながら急いで着るものを探した。
少し間が空いて、背後から近づいてくる気配がする。
「いいよなぁ……こことか、俺すげえ好き」
祥悟の手が伸びてきて、腰から尻をそっと撫でられた。
……っ。
いや。そんな風に触られたら……またその気になってしまう。
智也は自分の洗い換えのシャツを掴むと、祥悟に差し出した。
「これ。とりあえず着てて。下着はちょっとコンビニに行って買ってくるから」
「さんきゅ」
祥悟は受け取ると、シャツを広げてみて
「デカっ。これ、俺が羽織ったらミニワンピみたいになっちゃうんじゃねーの?」
その白シャツはもともとざっくりとした大きめのデザインなのだ。自分が着てもかなり大きめだから、華奢な祥悟が着たら多分ブカブカだ。
祥悟は文句を言いながらも楽しそうな顔をしてシャツを素肌に羽織った。智也も急いで別のシャツを羽織り、トランクスを素早く身につける。
「ほーら、やっぱりな。デカすぎるっつーの」
クスクス笑いながら両手を広げてみせる祥悟の姿を振り返ってみて、智也は息を飲んだ。
……うわ……。可愛すぎる……。
ぴょんぴょんあちこちに跳ねた猫っ毛で小さな顔をふわふわと包み、大きすぎるシャツの袖を手の先に垂らして笑っている祥悟の姿は、まさに天使そのものだ。
長すぎるシャツの裾からは、形のいい細い脚がすらりと伸びている。
……や。ダメだ……。鼻血が出そうだ……。
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