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第344話 君という鎖30※
「もしかして、あの時、傷つけた?違和感あったりする?」
祥悟はだんだん自信なさげな顔になって
「や。んー……痛いとかじゃねえの。たぶん傷とかついてねえし。たださ、俺、こっちでああいう気持ちいいの感じたの初めてだしさ。今まで意識してなかったのが、妙に気になるっつーか…」
言いながらこちらの身体を押しのけて身を起こすと、自分の小さなお尻をきゅっと持ち上げてみせる。無意識なその仕草が、きゅんきゅんするほどエロ可愛い。
……もう……困っちゃうな……君って。
自分も男に抱かれた経験はないから、祥悟の気になっている感覚を理解するのは難しいのだ。でも、傷つけたのじゃなくてよかった。
「そう。じゃあ、そこ、俺がいじってあげようか?」
「ん」
祥悟は素直に頷くと、黒いレザーパンツを下着ごと戸惑いもなく脱ぎ捨て、小さなお尻をこちらに向けた。
……うわ……。
好奇心旺盛過ぎて、こんな無防備な姿を自分以外にも見せたりしないかと、またもや心配になってくる。
この仔猫の好奇心は全部、自分が満たしてやらなければ……。
「じゃ、じっとしててね」
智也は押し倒して無茶苦茶に抱き締めたい衝動を必死に押し殺し、ドア付近に転がったままの自分のbagを急いで取りに行った。さっき祥悟に壁ドンキスされた時に、床に落ちてそのままなのだ。
必死な感じが出ないように早足で戻ると、bagに忍ばせていたローションの小瓶を取り出す。……ひょっとして急に必要になるかもと、用意しておいたものだ。
祥悟は四つん這いのまま振り返り
「ふーん。持ち歩いてんのかよ、そんなもん」
智也はギクッとした。やっぱり用意しておかない方がよかっただろうか。下心見え見えだったかとヒヤリとした。
「ああ……まあ、一応ね」
「やっぱさ、女子相手でもそういうの、使った方が喜ぶ?」
智也は一瞬、ぽかんとしかけて慌ててポーカーフェイスになり
「あー……どうかな?女の子にもよるよね。これ、普通のローションじゃないんだ。温感タイプで、ちょっと感じ方が敏感になるやつ」
祥悟は身体ごとこちらを向くと、興味津々に覗き込んできて
「そっち系のグッズかよ?んなもん、どこで手に入れたんだし」
「……ちょっと、ネットでね」
祥悟はピンクの小瓶をこちらの手からひょいっと取り上げると、後ろのラベルをしげしげと見つめて
「ふーん。ラブローションか。おまえ、女の子とエッチする時ってこういうの使うんだ?」
……うーん。いや、それ、初めて買ったんだよね。俺は女の子とエッチはしないし。
とは言えない。
智也はにこっと笑って誤魔化した。
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