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第348話 君という鎖34※
「祥、舐めて」
こじ開けた人差し指と中指で歯列を優しく撫でながら囁くと、祥悟はうっすらと目を開いてこちらを睨みつけた。促すように首を傾げ、柔らかい唇をぷにぷにと押してみる。
祥悟は目元を薄く染めキツく睨んだままで、舌をちょこっと突き出した。
指2本でざらついた舌を挟んでみる。
「明日も撮影あるんでしょ?唇を噛むのはダメだよ、祥」
挟み込んだ舌が拒むように動いて、こちらの指をチロチロと舐めてくる。その動きがなんだかやけにいやらしい。
「おまえ動いたら、食いしばっちゃうもん、絶対」
「困ったな。傷ついちゃうね」
智也は目だけ動かして周りを探した。
ここに来てからシャワーも浴びてないから、後始末用のタオルも準備していなかった。
「ちょっと待ってて。洗面所からタオル、取ってくるから」
言いながら楔をそっと抜こうとすると、祥悟は嫌そうに顔を顰め
「抜くなよ。いいからこのまま、来いって」
「でも……」
「おまえが手で口、塞いでたらいいじゃん」
祥悟はちょっと興醒めした顔になり、焦れたように腰を揺すった。
たしかに今中断してタオルを取りに行ったりしたら、せっかく盛り上がっていたのにシラケてしまうだろう。
智也はベッドの上に放り出していた自分のバッグを引き寄せ、内ポケットからハンカチを取り出した。
昼間使っていたハンカチは、スラックスのポケットの中にある。こちらは未使用の予備だ。
「じゃあ、これで口、縛ろうか?」
にこっと笑ってハンカチを広げてみせると、祥悟は片眉をあげて
「なんかおまえ……それ、すっげぇ変態くさい……」
「手で塞ぐのも同じだよ」
祥悟は首を竦めると、
「んじゃ、縛って」
広げたハンカチを祥悟の前に回した。
「口、開けて?」
素直に開いた口にハンカチを噛ませると、首の後ろで少しキツめに縛る。キツすぎないかと顔を覗き込むと、祥悟の緑がかった瞳が楽しげに揺らめいた。
彼の言うとおりだ。ハンカチで口を縛っただけで、ちょっと変態チックな気分になってきた。
……こういうプレイ。興味ないつもりだったけど…ちょっと興奮してきちゃうかな。
自分の楔を打ち込まれたまま、祥悟は声も奪われているわけだ。
「祥……。動いても、いい?」
下腹にじわっと熱が集まる。問いかける声が、自分でも分かるほど、甘く掠れた。
「ん…」
祥悟は頷いてシーツに両手をつくと、小さなお尻を高く掲げた。
弾みで締め付けられて、ズクン…とペニスが甘く疼く。
智也ははぁ…っと熱い吐息を漏らし、彼の細腰を両手で鷲掴みにして、ゆっくりと腰を動かし始めた。
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