24 / 349
第24話 舞い降りた恋14
「ちょっ、ちょっとストップ。祥悟くん、君って今いくつだっけ?」
祥悟は一瞬ぽかんとしてから、怪訝そうに眉を顰め
「え。こないだ16になったけど?」
(……そうだよな。俺より5歳下なんだから、まだ子どもだよな)
「その、君にそういうお誘いしてきてるのって、誰? うちの事務所の人?」
祥悟はにやっと笑って
「それは言えない。内緒」
智也は、はぁ~っとため息をつくと
「あのね、祥悟くん。そういう悪いお誘いは、きっぱり断ろうか。相手は多分、だいぶ歳上だろう? 君みたいな子どもにちょっかい出すなんて、ちょっとありえないよ」
祥悟は目を大きく見開くと
「うわぁ……智也ってやっぱさ、お堅いんだね。なんかすっげー期待裏切らない感じ」
祥悟は何故だか、ひどくご機嫌な顔になって、智也にぴたっと身体を擦り寄せてきた。
「もしかしてさ、智也って、結婚前提じゃない相手とはセックスしません、って人?」
祥悟の体温が触れている腕から伝わってくる。まるで何かのスイッチが入ったみたいに、さっきのあどけない少年の顔は消えていた。
息がかかりそうなほど間近に、ちょっと隠微な色気を滲ませた切れ長の瞳が揺らめいている。
智也は魅入られたように、濡れて揺らめくその瞳を見つめたまま固まった。
「……そういう、わけじゃ、ないよ」
「ふうん……。でも遊びで寝るのは、ダメなんだよね?」
なんだか冷や汗が出てきた。
どうしてこの子は、急に変わってしまったんだろう。
というか、まるで金縛りに遭ってるみたいな、これって……なんなのだ?
「違うよ。そういう、ことじゃなくて、だって君は、まだ子どもじゃないか」
自分の声が妙に掠れていて、遠くから聴こえてくるような、すごく変な感じだ。
「そう? 俺、大人だよ? 興奮したらちゃんと勃つし、挿れたら気持ちいいってのも知ってる。さっき智也とキスした時も……ちょっと勃ってたよ?」
囁きながら、祥悟の目がどんどん近づいてくる。その淡い綺麗な色の瞳に、吸い込まれそうな気がして、目を逸らしたいのに……動けない。
(……ダメだ……。逸らさないと)
「……しょう、ご、くん」
「なに?」
祥悟の形のいい唇の端が、きゅっと釣り上がった。その妖艶な笑みに、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされた気がする。
柔らかい唇が、智也の鼻先をすっと掠めた。思わずびくっとしてしまった智也に、祥悟はのしかかるようにして
「ね? 智也。さっきの、気持ちいいキス、俺に、教えて?」
ともだちにシェアしよう!