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第43話 波にも磯にもつかぬ恋14
「おま、え……。なに、してんの?」
掠れた声にはっとして顔をあげると、目元をうっすら染めた祥悟と目が合った。
「あ……いや。君の乳首、綺麗なピンク色だなって」
思わずバカ正直に答えてしまった。祥悟はきゅっと眉を寄せ、智也の顔と自分の胸を見比べて
「ば……っかじゃ、ねーの。そんなじっと、見んな」
「これ、美味しそうだね。舐めても……いいかい?」
「……っだからぁ……そ、んなこと、聞くなってーの」
どうやら祥悟は恥じらっているみたいだ…と、ふと気づいた。
(……え……意外……。こんな顔、初めて見るよな。キスはノリノリだったのに、胸見られるのは……苦手ってことか?……なんだろ……可愛い)
途端にむくむくと悪戯心が沸き起こる。
「じゃあ、舐めるよ」
上目遣いに祥悟の顔を見つめながら、舌をべーっと差し出し乳首に近づける。触れる寸前で止めると、祥悟は頬に朱を散らして、きゅっと目を細めた。
つんつん…と舌先でつついてみると、髪を掴んでいる祥悟の手に力がこもる。
小さな尖りの先端をぺろぺろしてみた。
「……っぁ……っ」
甘い鳴き声が零れる。つぷっと突き出た乳首の先がさっきより紅くなって、唾液でてらてらと濡れていた。
(……うわ。可愛過ぎる)
形のいい眉をきゅっと顰めて、切なげに自分を見下ろす瞳に、仄かな欲情の色が滲んでいる。
(……感じてる?……乳首、気持ちいいんだ?)
そっと掠めるようにして、尖りとその周辺を舐めた。
ぁ……ぁ……と声にならない声を漏らし、祥悟の身体がぴくぴくと跳ねる。
「祥。これ、気持ちいい?」
「……ぁや……だ、やめ……」
「嫌じゃ、ないよね?」
祥悟はぎゅっと目を瞑ると、いやいやをするように首を振った。智也はいったん顔をあげ、肩に手を伸ばし服を脱がせ始めた。
黒革のぴったりとしたシャツの下は素肌だ。まだ少年の名残を残した華奢な肩や腕が剥き出しになる。
服の上から想像していた以上に、祥悟の身体は細かった。身長も体重も、まだまだこれから成長していくのだろうが、今はまだ思春期の少年特有のアンバランスさが目立つ。
(……どんなご両親だったんだろう。どちらもきっと、美形だったに違いないな)
「じろじろ、見んなよ」
いつの間にか目を開けていた祥悟に、きつい眼差しで睨みつけられた。智也は苦笑すると
「ごめん。君があんまり綺麗だから、ちょっと見蕩れてた」
祥悟ははっとしたように目を見張り、ぷいっとそっぽを向いた。
「嘘つけ。すっげー貧相だろ?俺の身体。嫌いなんだよね。女みたいでさ」
「いや。痩せてるけど、綺麗な骨格してるよ。まだまだ君は成長盛りだからね。もう少し大人になれば、もっと筋肉もつくよ」
祥悟はふんっと鼻を鳴らした。
「それよりさ、服、脱がせるだけで、どんだけかかってんだよ。シャワー浴びんじゃねーの?」
愛撫を中断されて余裕が出てきたのか、憎まれ口が少し戻ってきた。
智也はふふっと笑うと
「そうだね。このペースだと、いろいろ教えてる時間、なくなっちゃうかな」
祥悟の脇に手を入れて抱きかかえ、床におろしてやった。
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