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第45話 波にも磯にもつかぬ恋16

引き締まったお尻の小さな丸みの感触を、両の手の平で少し楽しんでから、智也は指をつつーっと上に滑らせた。薄い布製越しに腰から尾てい骨付近を、繰り返し撫でていく。 「ん……っ。なんか、擽ったい……っつーか……ぞわぞわ、するって」 祥悟はもぞもぞと腰を揺らし、シャツをぎゅっと掴んできた。 「ああ。擽ったい場所ってね。開発すると性感帯になるらしいよ」 「ばかっ、ちょっ、そこ、触んな。なんか……ヤバいって」 尾てい骨付近の割れ目の始まり辺りを撫でると、祥悟はもじもじしながら上擦った声をあげた。 (……ふうん。ここ、感じるのか。祥ってやっぱり猫みたいだな) 昔、実家で飼っていた猫が、こんな風に尻尾の付け根辺りを撫でると、発情して甘えた鳴き声をあげた。祥悟もそこが弱点らしく、悪戯から逃れようと必死に身を捩っている。 「変な感じに、なってきた?」 「んっ……やめ……んぁ」 「ふふ。いい声出てるね」 揶揄われるのが悔しいのか、祥悟はきゅっと口を引き結んだ。でも、漏れ出る声を必死に押し殺している表情は、余計に可愛くてそそられてしまう。 (……俺ってもしかして、結構Sっ気あるのかな) Sで女王様気質はむしろ祥悟の方だと思っていたが、意外と逆だったりするのかもしれない。 「……服っ、脱ぐ、んだろっ。いつまで、やってんだよ……っ」 しつこくいじめ続けると、とうとう祥悟が怒り出した。シャツをぎゅっと握り締めながら上目遣いにこちらを睨む目が、少し潤んでいる。 「あぁ。ごめんごめん」 智也は名残惜しい気持ちで手を離すと、パンツのホックを外した。そのままファスナーをおろしてやろうとした手を、祥悟ががしっと掴む。 「自分で、する」 祥悟の目が完全に怒っている。 ちょっと調子に乗りすぎたらしい。 智也は素直に手を離すと、くるっと祥悟に背を向けて、自分も服を脱ぎ始めた。 正直、一緒にシャワーを浴びるなんて、祥悟が許すわけないと思っていた。祥悟が我に返って、途中でやっぱり止めると言い出すのを、待っているのだ。 いくらいろいろ教えてやるという口実でも、男同士でエロいことするのを前提にシャワー浴びるなんて……普通に考えたらおかしい。 でも、いつまで経っても、祥悟の方がギブアップして来ないから、止めるタイミングが分からない。 (……いいのかな。本当にこのまま裸になっても) 躊躇いながら、上のシャツを脱ぎ捨て、ジーンズのボタンを外した。祥悟の可愛い反応にそそられて、実は少し……勃っていたりする。 「脱いだぜ。先、入ってるからな」 相変わらずちょっと怒ったような祥悟の声に、はっとして振り返ると、祥悟はパンツも下着も脱ぎ捨てて、こちらに背を向け浴室の扉を開けていた。 (……うわ……っ) 見てしまった。祥悟の綺麗なお尻を。 ダメだ。ちょっとくらくらする。 ぼーっと見蕩れている智也を残して、祥悟の白い肢体がドアの向こうに消えた。 (……え。本当に……浴びるの? 一緒に‍? え……いいのか?) プライドをつついて、わざとムキにさせて、どさくさでお尻まで触らせて貰った。 もう充分過ぎる。 裸で一緒にシャワーなんか浴びたら…… 智也は、下着をゆるく押し上げている自分のものを、じっと見下ろした。 (……我慢……出来るかな。襲っちゃいそうな……気がするんだけど)

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