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第49話 波にも磯にもつかぬ恋20※
タオルを巻いて誤魔化してはいるが、智也のペニスはもう完全に勃ちあがっている。祥悟の腰を引き寄せると、太ももに硬いものが当たった。
(……これ、祥悟の……だよね?)
反応しているのは、どうやら自分のだけじゃないらしい。
祥悟は焦って腰を引こうとしているが、智也は気づかないフリをして、ボディソープのボトルに手を伸ばした。ワンプッシュ手に出して両手で泡立て、祥悟のお尻を両手で包む。
「……っどこ、触ってんだよ」
「え。お尻。……洗うよ?」
尚も腰を引いて逃げようとするのを許さず、小さな丸みを撫で回した。
きゅっとほっぺの凹んだ形のいいお尻は、すべすべしていて触り心地がいい。腰から尾てい骨付近を繰り返し撫でると、気持ちいいのか、祥悟は智也の腕にしがみつくようにして腰を揺らした。
「小さいな、君の尻。この辺、気持ちいいだろ?」
「……ん……ぅん……そこ、触られる、と、ぞくぞくって、なる」
「ここ、君の性感帯だね」
「……っん……女も、ここ、弱いのかよ……?」
「人にもよるけど。彼女はこの辺、気持ちいいって言ってた」
祥悟が顔をあげ、潤んだ目で見上げてくる。
「……惟杏、さんが?」
「うん。あ……。俺が言ったって、彼女には内緒だよ」
「一緒に、……っシャワー、浴びたんだ?」
智也は首を傾げて考えた。
(……どうだったっけ。あの時は無我夢中だったから。一緒には、浴びなかった……かな)
「いや。ここがいいって教えてくれたのは、たしかベッドの中だったよ」
正直に答えると、祥悟は何故だか悔しそうな顔になり
「ふーん」
鼻を鳴らしてそっぽを向いた。
智也はもう1度祥悟の身体を抱き締めると、泡だらけの肌と肌を擦り合わせた。素肌が直接触れる感触は、堪らなく心地いい。
「どう? だんだんその気になってきた?」
「ばっ……か。俺を、その気にして、どーすんのさ? 俺が、知りたいのは、女の抱き方だし」
祥悟は赤い顔をして、ぷーっと頬をふくらませた。
「でも、身をもって知っただろ? こうやってムード、高めるんだって」
「……まあね。智也の手つき、いやらしいよな。触られると、すっげ気持ちいいし」
(……うん……。でも、そろそろ俺の方が限界。これ以上やってると、違うとこ、触りたくなってくるよ。尻の割れ目からもっと奥とか、太もものとこでごろごろしてる君のペニスとか)
どうしても触れてみたくなる。でもそれはきっと、祥悟の望むことじゃない。
「……さてと。身体ざっと洗って出ようか」
「へ? ……もう、終わりかよ?」
「うん。君は女の子じゃないからね。これ以上は教えられない」
智也はそう言って、シャワーノズルを壁から外すと、祥悟の身体を流してやってから、自分も素早く泡を洗い流した。
「先に出るよ」
言い残して祥悟に背を向け、湯船から出ようとすると、ぽすんと祥悟が後ろから抱きついてきた。
「……っ」
「ありがとな、智也」
(……うわぁ……)
背中に抱きつかれて、そんなこと言われるなんて……予想外のオプションだ。
もう……なんなのだろう。この可愛い生き物は。そんなことされたら、止めたくなくなるじゃないか。
「どういたしまして」
智也は振り向きたいのを我慢してそう言うと、祥悟を残して浴室から出た。
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