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第99話 甘美な拷問7※
祥悟の気紛れな言動を本気にしてはいけない。
分かっている。
でも……。
例え思いつきでも、ここに住んでみようかと一瞬でも思ってくれた。家を出ると決めて、その行く宛の選択肢に、一瞬でも自分のことを思い浮かべてくれた。
そのことが……ちょっと舞い上がりそうなほど嬉しい。
「も、もう、そこは契約しちゃったのかい?」
落ち着け、ムキになるな、どもったりするなよ。
そう自分に言い聞かせながら、つい身を乗り出してしまう。
「んー。まあな。いろいろ探してる暇なかったからさ、超テキトーに選んだけどさ。どうせ寝に帰るだけだし?」
「そうか……。どの辺だい? スケジュールが合うなら、引越しの手伝いとか、しようか?」
祥悟はこちらの顔をまじまじと見つめ、首を竦めた。
「や、別に手伝ってもらうほど、荷物なんかないし。あ、でも越してから必要なもん買い揃えるからさ、そん時は付き合ってよ」
「あ、ああ。もちろんだよ」
「それよりさ、智也。続き……もうしねえのかよ?」
「え」
祥悟の話の目まぐるしい移り変わりに、ぽーっとしている頭が、まったくついていけない。思わず呆けた顔をすると、祥悟はにやっと笑いながら腰をくねらせてみせ
「な。わかるだろ? さっきのキスで感じちゃってさ、俺の……勃っちゃってるんだけど?」
「……っ」
下腹に祥悟のナニが擦りつけられている。それは確かにしっかりと勃ちあがって、智也の腹にあたっていた。
「祥……」
つい……ちらっと下に目をやってしまった。薄い布を押し上げてふくらんだ祥悟の欲の証が見えてしまって、智也は激しく動揺した。
「祥……っ、君、俺に、どうしろっていうの」
祥悟はぐいっと顔を近づけてくる。
「おまえのもさ、あたってる。勃ってるんだろ? な……触りっこ、しねえ?」
欲情に掠れた、熱い吐息混じりの祥悟の声が、のぼせた智也の頭を熱っぽくいざなう。
そこまでされては、もうこれ以上我慢なんか……出来るわけがない。
智也は耐えきれずに荒い息を吐き出すと、祥悟の唇を乱暴に奪い、両手で小さな尻を鷲掴みにしてぐいっと引き寄せた。
「ん……っんぅ……ぅん……っ」
深く濃厚に舌を絡め合いながら、隙間なく抱き寄せた祥悟の昂りに、自分の熱える欲望を擦りつける。
間を隔てる布の感触が邪魔だった。
こんなもの剥ぎ取って、直接触れ合いたい。
身体の奥から痺れるような甘い熱が、次から次へと沸き起こってくる。
智也は、祥悟の穿いているショートパンツのウエストに指をかけてずり下ろした。剥き出しになった滑らかな尻を、直接鷲掴みにする。
それは想像以上に小さくて、震えがくるほど愛らしかった。自分の両の手のひらですっぽりと隠れてしまいそうな小ささが、愛おしくて堪らない。
……ああ、可愛い……。祥っ。俺の、祥……っ。
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