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第126話 硝子越しの想い6

祖父の家に着くと、瑞希を伴い玄関の鍵を開ける。彼女の靴はなかった。 智也はそっと深呼吸すると 「あがって」 瑞希を促して自分も靴を履き、リビングに向かった。ドアを開けて覗き込む。 祥悟の姿は……なかった。 ……まだ寝てるのかな。 リビングルームに入り、物珍しそうにきょろきょろしている瑞希に振り返って 「瑞希くん。とりあえずそこ、座って。何か飲みたいもの、あるかい? 珈琲、紅茶、ココアならいれられるけど」 「あ……うん。じゃあ紅茶で」 智也は微笑んで頷くと、奥のキッチンにいき、3人分の紅茶をいれた。 「ね、智くん。約束してた人、いないの?」 「ああ……。うん。まだ寝てるのかな」 「僕、ほんとにお邪魔じゃない?」 ダイニングで椅子にちょこんと腰掛け、居心地悪そうに不安な表情を浮かべる瑞希に、智也はにこっと笑いかけ 「大丈夫。とりあえず買ってきたパンを温めるから、先にこれ飲んでて」 紅茶をトレーに乗せてテーブルに運び、瑞希の前に置くと 「ちょっと、彼を起こしてくるね」 「あ……うん」 智也が瑞希の肩を安心させるようにぽんぽんと叩き、ドアの方へ向かおうとした時、がちゃっとドアが開いた。 入ってきたのは祥悟だった。 シャワーを浴びていたのだろう。まだ濡れている髪の毛をタオルでごしごし拭きながら歩いてくる。こちらに気づいて立ち止まった。 「……来てたのかよ」 微かに目を見張り、こちらをまじまじと見つめた後で、視線をダイニングの瑞希の方に向けた。胡散臭げに眉をひそめ 「誰?あいつ」 智也はちらっと瑞希の方を見て 「あ、俺の親戚なんだ。常葉瑞希くん」 「ふうん……おまえの、親戚。……あんま似てねーし」 祥悟は鼻を鳴らすと、つかつかと瑞希に歩み寄っていく。 瑞希は慌てたように椅子から立ち上がった。 歳の割りに童顔な瑞希は大きな丸い目をこぼれんばかりに見開いて、祥悟を見つめている。その顔は真っ赤だった。 それもそのはずだ。 祥悟は、シャワーを浴びた後はいつもするように、大きめのシャツを1枚引っ掛けただけの姿で現れたのだから。シャツの裾から、すらりとした白い脚が丸見えだ。初めて祥悟に会う瑞希が、どぎまぎするのも無理はない。 「あ、祥」 智也が急いで間に入るより前に、祥悟は瑞希の横の椅子を引っ張り、背もたれを前にして長い脚で座面を跨いで腰をおろすと、瑞希の顔を下から睨めあげた。 「立ってないで座れば?」 「あ、はい、あの、」 瑞希はオタオタしながら、助けを求めるようにこちらをちらっと見た。

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