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第136話 硝子越しの想い13※

うっすら色づいて、つんと尖り出てきた小さな突起を、歯で甘噛みし唇でしごく。瑞季はここがひどく感じるらしい。 男の子の身体をこれだけ丁寧に愛撫するのは、祥悟を除けば初めてだった。女相手にするよりも、自分が明らかに興奮しているのが分かる。 祥悟に対する片恋の虚しさを持て余し、やるせなさに、ただ人肌の温もりだけでもいいから感じたいと、夜の街に出掛けてみたこともある。 バーでたまたま見かけた好みの男の子とホテルにも行ったが、結局あの時は、キスも出来ずに気まずく別れた。 ……キス……。そうか。キスも、祥以外の男とするの、俺は初めてだ……。 無駄に考える余裕が出てきた頭で、そんなことをぼんやりと思う。 生理的に興奮し、熱を帯びていく身体とは裏腹に、徐々に虚しくなっていく心が嫌だった。 自分が今、抱こうとしているのは、祥悟だ。 そう思い込もうとすればするほど、心が冷たくなって萎えていく。 智也は現実から目を逸らすように、瑞季の下腹へと手を伸ばした。 布越しに触れた瑞季のそこは、自分と同じように、昂って反応していた。時折微かに喘ぐ声にも、甘い艶が増している。 行きずりの男と違って、瑞季に対しては、もちろん好ましい気持ちはあるのだ。ただ、祥悟に対する狂おしいほどの想いとは、比べようもない。 「瑞季くん。ここ、触っても、いいかい?」 智也が囁くと、ぎゅっと瞑っていた瑞季の目がうっとりと見開かれた。潤んだその瞳に、自分のあさましい顔が映り込んでいる気がして、智也はすかさず視線をずらす。 「ん……智くん……さわって」 ため息のように囁き返す瑞季の声音の甘さに、また下腹にきゅんっと熱が溜まる。 男の身体は不本意だ。心を伴わない行為でも、性的に昂れば勃起もするし相手を抱ける。 ……抱ける……? 本当に? 智也は布越しの膨らみを優しく指でなぞった。熱く息づく瑞季のそれは、自分の指に触れられると、まるで別の生き物のように、ひくりと震えた。気持ちいいのだと、同じ男としてすごくよく分かるから、瑞季の素直な反応は可愛いし愛しい。でも…… ……祥じゃなくても、俺は男を抱けるのか……? 瑞季を抱くことが出来るのか? ああ、もちろん。身体は、確かに興奮してる。瑞季の反応に、煽られてちゃんとその気になってる。 だったらこのまま……先に進めるのか? 祥じゃなくても? だとしたら……俺のこの想いは一体なんだったのだろう。 祥の傍らで、想い悩み続けてきたあの日々は……。

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