137 / 349

第137話 硝子越しの想い14※

深く考え始めてしまえば、また堂々巡りの暗い深淵に堕ちて行く。 智也は次々押し寄せてくる思考を振り払い、瑞季の熱をぎゅっと握り締めた。 「あ……っぁあ……っ」 瑞季が喘いでびくびく震え身を捩る。まだ少し柔らかかったそこが、更に膨らんで弾力を帯びて、こちらの指を押し返してくる。 ふと、瑞季から聞いた、亨という元恋人の話が頭をよぎった。2年間付き合った高校の先輩で、今は都内の大学に通っているらしい。告白は向こうからされたが、瑞季自身も大好きだったという彼氏。蜜月の時期もあっただろうに、どうしてあれほど拗れてしまったのか。 その男は、瑞季をどんな風に抱いたのだろう。 「瑞季くん。直接……触ってもいいかい?」 智也が囁きかけると、瑞季は綺麗な眉をきゅっと顰めて、潤んだ瞳を揺らした。 「う……ん……気持ちよく、して?」 智也は頷くと、彼のジーンズの前を開いた。トランクスの上からそっとペニスの形を指でなぞり、そのまま下着ごとジーンズを引き下ろす。脱げやすいように少し腰をあげた瑞季のペニスが、ふるんと震えて剥き出しになった。予想より立派なそれを目にして、智也はドキッとする。自分と祥悟以外のそこを直視したのは初めてだ。智也はごくりと唾を飲み込むと、色素の薄い欲情の証に、そっと触れてみた。 「……ぁ……」 瑞季は少し腰を引き、恥ずかしそうに目元を染めてこちらを見上げた。その艶めいた表情にまたドキドキする。 「すごいね……もうこんなに……反り返ってる」 「……やっ。あんま、見ないで」 瑞季はますます顔を赤くして、自分の手で前を庇った。 「本当にいいの? 俺が……触れても」 じっと目を見つめて囁くと、瑞季はちょっと視線を泳がし 「……智くんなら……いいよ」 聴こえないくらいの小さな声で、呟いた。 迷いがあるのは、自分だけじゃない。生理的には昂ってしまっても、瑞季もきっと迷ってる。 当然だ。自分も瑞季も、他に心揺らす相手がいるのだから。 「瑞季くん。嫌だと思ったら、すぐに言って。俺は君を、無理矢理抱くつもりはないから」 瑞季はちょっと驚いたように目を見張った。 「ふふ……。智くん……優しいよね。亨くんとは大違いだ」 そう言って笑う瑞季の目に、みるみる透明な雫が浮かんだ。智也はせつなく微笑んで、瑞季の頬にそっとキスを落とすと、ペニスを手で柔らかく包み込んだ。 青く香る首筋に、顔を埋める。舌を這わせちゅっと吸い付くと、瑞季はクンっと仰け反り、甘く鳴きながら、智也の頭を両手を回し、ぎゅっと縋り付いてきた。

ともだちにシェアしよう!