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第137話 硝子越しの想い14※
深く考え始めてしまえば、また堂々巡りの暗い深淵に堕ちて行く。
智也は次々押し寄せてくる思考を振り払い、瑞季の熱をぎゅっと握り締めた。
「あ……っぁあ……っ」
瑞季が喘いでびくびく震え身を捩る。まだ少し柔らかかったそこが、更に膨らんで弾力を帯びて、こちらの指を押し返してくる。
ふと、瑞季から聞いた、亨という元恋人の話が頭をよぎった。2年間付き合った高校の先輩で、今は都内の大学に通っているらしい。告白は向こうからされたが、瑞季自身も大好きだったという彼氏。蜜月の時期もあっただろうに、どうしてあれほど拗れてしまったのか。
その男は、瑞季をどんな風に抱いたのだろう。
「瑞季くん。直接……触ってもいいかい?」
智也が囁きかけると、瑞季は綺麗な眉をきゅっと顰めて、潤んだ瞳を揺らした。
「う……ん……気持ちよく、して?」
智也は頷くと、彼のジーンズの前を開いた。トランクスの上からそっとペニスの形を指でなぞり、そのまま下着ごとジーンズを引き下ろす。脱げやすいように少し腰をあげた瑞季のペニスが、ふるんと震えて剥き出しになった。予想より立派なそれを目にして、智也はドキッとする。自分と祥悟以外のそこを直視したのは初めてだ。智也はごくりと唾を飲み込むと、色素の薄い欲情の証に、そっと触れてみた。
「……ぁ……」
瑞季は少し腰を引き、恥ずかしそうに目元を染めてこちらを見上げた。その艶めいた表情にまたドキドキする。
「すごいね……もうこんなに……反り返ってる」
「……やっ。あんま、見ないで」
瑞季はますます顔を赤くして、自分の手で前を庇った。
「本当にいいの? 俺が……触れても」
じっと目を見つめて囁くと、瑞季はちょっと視線を泳がし
「……智くんなら……いいよ」
聴こえないくらいの小さな声で、呟いた。
迷いがあるのは、自分だけじゃない。生理的には昂ってしまっても、瑞季もきっと迷ってる。
当然だ。自分も瑞季も、他に心揺らす相手がいるのだから。
「瑞季くん。嫌だと思ったら、すぐに言って。俺は君を、無理矢理抱くつもりはないから」
瑞季はちょっと驚いたように目を見張った。
「ふふ……。智くん……優しいよね。亨くんとは大違いだ」
そう言って笑う瑞季の目に、みるみる透明な雫が浮かんだ。智也はせつなく微笑んで、瑞季の頬にそっとキスを落とすと、ペニスを手で柔らかく包み込んだ。
青く香る首筋に、顔を埋める。舌を這わせちゅっと吸い付くと、瑞季はクンっと仰け反り、甘く鳴きながら、智也の頭を両手を回し、ぎゅっと縋り付いてきた。
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