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第3話 下僕に頼み事詳細を送る

俺は大門亜巳(だいもん あみ)、24歳。訳あって見た目は16歳のままだ。 M男たちを相手に女王様をやってる。耳が隠れる長さの黒髪に大きな黒い瞳。母親似の女顔で、子供の頃から変質者に狙われやすいタイプだった。身長は平均的な男性より低めの165cm。骨格は華奢だが、ガタイの良い客を相手する――縛ったり叩いたり――には相応の力がいるため、細いながらも手足にはほどよく筋肉がついている。 そんな俺は官僚や政治家、弁護士や医師そして芸能人といった地位と名誉のある男性客をメインとした会員制高級SMクラブに従事している。 日頃から難しい判断を下さねばならない立場にあるエリート層の人間は、プライベートで決断を下す作業を無意識に避けがちだ。決断をするという行為自体、脳に負荷がかかり「決断疲れ」を起こすのだ。だから、仕事上で命令を下す立場にある者ほどプライベートでは「誰かに決めてもらいたい」と思う傾向がある。 そしてそれが性的嗜好に結びつく者がいて、信頼できる相手に命令されたりなじられたりすることで性的興奮を覚える。そういった欲求を満たすのが俺のような「女王様」というわけだ。 なぜ俺がそんなことをしてるのかっていうのがちょっとややこしい。 坂本に先程の頼み事の詳細を送ったから、返事を待つ間に俺の過去を振り返ってみよう。

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