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第7話 高校時代〜弱みを握られる〜
トイレでの嫌がらせから1週間後。
あれから俺はまだ小山田と話せていなかった。お礼もしたかったし、出来れば伊藤を襲ったなんて嘘だと釈明したかった。
だけど小山田は教室では徹底して俺を避けており、目も合わせられない状況だった。
「はぁ……コンテスト終わったらちゃんと話しないとなぁ」
しかしある朝予期せぬ問題が発生した。
放送部のコンテスト用撮影データを入れたUSBメモリが消えたのだ。
バックアップデータも含めて3本のUSBに分けて部員が管理していたが、3本のうちサブの2本が叩き割られた状態で俺の靴箱に入っていた。
「………っ⁉︎まじかよ………」
やばいやばいやばい。
嫌な予感しかしない。
マスターデータのUSBメモリは俺が持っている、はずだ。
席に着いて鞄を漁る。
ない、ない!
焦ってて見つからないだけかもしれない。バサっと鞄の中身を机の上にぶちまける。
「くそ、ない!」
俺が必死で鞄を漁る姿を女子らは気味悪がって遠巻きに見ている。
そして男子は…一部の奴らがニヤニヤしながらこちらを見ていた。
中島……。
俺はニヤニヤしてる男子たちの真ん中でこちらを見つめる中島を睨みつけた。
中島が立ち上がりこちらにやってくる。
「データ返して欲しかったらここ読んで書き込みしろ」
俺の机にURLのメモを書いた紙を置いて去っていく。
急いでスマホでページを開いてみるとそこは見たこともない掲示板だった。鍵付きで、パスワードを入れないと読めなくなっている。メモの端にそれらしき文字列が書かれていたので入力するとログインできた。
“放課後美術準備室“
とだけ書かれている。この掲示板はどうやら俺との連絡に使うつもりのようだ。
SNSやメールを使わないのは、後からバレて警察沙汰にでもなった時証拠になるからだろう。見かけによらずチキンだな。
いやそんなことより、USBだ。
中のデータはドキュメンタリー映像をコンテストに出すため2ヶ月以上かけて撮影したものだった。
俺だけでやったわけじゃない。部員全員が汗水垂らして撮ったものだから俺一人の都合で無くなりましたでは済まない。
「くそ…」
俺は頭を抱えた。美術準備室は鍵のかかる部屋だった。前回のトイレの件といい、また何をされるかと思うと胸焼けしてくる。
そして悶々としているうちに放課後になった。
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