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第13話 女王様の激甘な日常2【閑話休題】
バスローブを着せられ、抱えられてベッドに連れて行かれる。
寝室に入る直前に廊下に置いたままの俺のスマホが鳴ってることに気付いた。
「あ、ちょっと!鳴ってる」
背中を叩いたけど小山田は無視してベッドに俺を押し倒す。
唇を舐められる。
「ちょっと!仕事の電話かもしれないから」
「うるせーな…待ってろ」
そう言ってスマホを持ってきてくれた。
画面を見ると相手は坂本だった。
先程の仕事に関してだろう。俺は通話ボタンを押した。
“あ!もしもしよかった繋がって。今大丈夫すか?”
「大丈夫だよ」と言い終わらぬうちに小山田が勝手にスマホを奪ってスピーカーにしてくる。
俺は小山田をじろっと睨みつけてから坂本と話し始める。
「さっきの件だよね?」
“はい。すいません、返事したけどなかなか既読つかないからどうしたのかなと思って。それに…亜巳さんの声また聞きたくて”
「ああ、ごめん風呂入ってて」
俺はそう言いながら小山田をチラ見する。無表情だが多分ちょっと不機嫌になっている。
“そーっすよね。すいませんさっき会ったばかりなのに”
返事しようとした時、小山田が後ろから覆い被さってきてまた乳首を捏ねられた。
「あっ!!」
油断していて声が出た。
“亜巳さん?どうしました?”
「いや、何でもない。それで、用件は?」
そう言う間も小山田は執拗に俺の乳首を摘んだりさわさわと撫で摩ったりしてくる。
“あ、はい。さっきの件ですが、てっきり夜だと思ってたんだけど今回は昼なんすね。実はその日試合があって14時だと間に合わなそうで15時過ぎ着になりそうなんすけどそれでも大丈夫かなって”
勿論無理ならこちらの試合は棄権しますが、と坂本は言った。
俺は変な声を上げないように必死で我慢する。
「ああ、多分大丈夫だから…んっ、賀茂 さんには俺から伝えておく…んぁ!」
“あれ?…………………あーっと、亜巳さんもしかして今彼氏さんと居ます?”
「ふぇ!?あ、いや!そうじゃなく…ひゃあっ!!」
坂本に図星を突かれた上に急に耳たぶを噛まれて叫んでしまった。
恥ずかしい!!啓介の野郎!!!
“すいません邪魔しちゃって!切りますね!あとはメッセ送りますんで!”
「いや、ちがう…」
“失礼します!ごゆっくり”
ブツっ
「坂本、おい!」
ツーッツーッ…
俺は小山田を押し退けて喚く。
「啓介こら!やめろよバカなこと!」
「あいつに声聞きたいだとか変なこと言わせるような隙を見せてるお前が悪い」
「なっ、何言ってんだ!あいつは仕事仲間なだけだろ」
「馬鹿か?坂本はお前のこと本気で好きだろうが。」
「んなわけあるかよ!」
いや、ちょっとあるかな?
にしても独占欲強すぎ。
「見えるとこに跡付けんなって言ってるだろ!女王様が噛み跡付けてたら下僕に示しつかないんだよ」
「お前が悪い」
「いってー。うわ、血ぃ出てきたじゃん。はーもう最悪」
その後は拗ねた小山田に「お前が誰のものかわからせる」と言われて激しく抱かれ、よがりまくってぐったりした俺は夜食を食べそびれた。
腹減ってたのに!
小山田は俺の身体をまた風呂で洗ってからベッドに運んでくれた。
耳には軟膏を塗ってくれる。
化膿したら困るからって、それなら最初から噛むなっつーの。
寝そべりながら俺は文句を言う。
「ふざけんなよ。プリン作ってくんないと許さない」
「今から?作るのは良いが冷やすのに時間かかるぞ」
「わかってる。明日の朝食べたいから作って冷蔵庫入れといて」
「はいはい…全くわがままな女王様だな」
「お前のせいだろ!」
俺は甘いのは基本苦手だが、小山田の作るプリンだけは好きだった。
あいつ明日は休みだから夜更かしさせてやる。
「俺は先に寝るぞ!おやすみ」
「おやすみ、亜巳」
そう言って口付けされる。
笑みを含んだバリトンの低音が耳に心地よくて俺はすぐに深い眠りに落ちた。
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