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第15話 高校時代〜車に轢かれて死ぬ俺〜
結局俺はUSBメモリ一つで振り回され、意味もなく生徒会室で恥ずかしい思いをさせられた。
これ、メンタル弱いやつだったら自殺してるんじゃ??
帰宅後に入った中島からのメッセージはこうだ。
"放課後放送部部室。他の部員は入れるな"
部室に部員を入れるなってどういうことだよ。
それでも俺はなんとか理由をつけて部員を遠ざけ、部室で中島たちが来るのを待った。
しばらくしてドアが開き、入ってきたのは中島一人だった。
「あれ?他の奴らは?」
「今日は来ない」
「へえ。まあいいや、USBメモリは返してくれるんだろうな」
「ここにある」
中島は手にしたUSBメモリを俺の目の前に差し出す。
え?あっさり返してくれんの?
と手を伸ばしたらサッと避けられた。
「最後に言うこと聞いたら渡してやる」
「まだなんかあんのかよ…」
「お前昨日仁乃のとこで何してた」
「は?」
俺は虚を突かれて焦った。
「何してたって聞いてるんだ」
「…ずっと立たされてた…」
嘘じゃない。うん。正しい。
「それだけか?」
「……いや…なんていうか…」
どうしよう、なんて言う?待って、お漏らししたのとフェラしたのならどっちがマシ??
俺が言い淀んでいると中島は俺の胸ぐらを掴んで言った。
「仁乃のしゃぶったのか」
うわ~~知ってるんじゃねえか。
恥ずかしくて死にそう…こういうときどうすりゃいいわけ?
「はい……」
仕方なく俯きながら頷く。
恥ずかしくて顔が熱い。
と、中島は急に怒り出した。
「クソ!!!!」
近くの机を蹴る。
暴力反対!
「なんでそんなことしてんだよ!!お前貞操観念どうなってるんだ!?」
はぁ~~~!?
「おま、人に大勢の前でオナニーさせておいて言うセリフか!??」
「うるさい…仁乃になんて会わせなければよかった」
ほんとだよ。それは俺が言いたいよ!
なんなんだよこいつ。
言ってることもやってることもめちゃくちゃじゃん。
「カメラ出せ」
「はい?」
「撮影用のカメラあるだろ」
「そりゃあるけど、何するんだよ」
「良いから、出せ」
USBメモリを床において、靴で軽く踏むフリをしてくる。
「わかったわかった!!!!ちょっと待てよ」
俺はカメラと三脚を持ってくる。
「どこに置くんだ?」
「ここらへんでいい。この机の上が映るくらいで」
いきなりなんなんだよ。
もうこのアホどうにかしくれよ。
「アングルこれでいいか?」
「ああ…いい。」
俺はちゃんとピントまで合わせる。職業病ってやつだ。
「もう撮影始めてくれ。カメラ回して」
「え、何を撮るの?何も無いじゃん」
「お前とヤるところだ」
「は???ヤル………?」
「この机の上に寝ろ」
いやいやいやいやいや!!ムリムリムリムリ!!!!
「無理に決まってんだろ!!誰が自分からヤられるために寝るかよ!」
「お前だ、大門」
「ふざけんな!」
「仁乃のは舐めたんだろうが」
「いやそういうレベルの話じゃないだろ!」
じりじりと中島が詰め寄ってくる。
「なんで仁乃のを舐めたからって俺がお前にヤられないといけないんだよ」
「さあな」
俺は間合いを詰められないように後ろに下がる。
「ちゃんとやれたらUSBメモリを返す」
USBメモリ。これだけのために俺は一体これまで何をさせられてきた?
ここまでして取り返さないといけないものか??
いや、もうやめだ!
俺は中島と睨み合ったまま、手探りで何か無いか探る。
書類の束がある。
それを中島の顔に向かって投げた。
バサ!
紙が中島の視界を遮った瞬間を狙って俺は部室の外に走り出た。
捕まったら終わりだ。俺のウェイトじゃ中島に勝てない。
「おい、待て!!!」
怒鳴りながら追いかけてくる。
待てと言われて待つバカはいない。
俺は必死で走った。
廊下を突き抜け、上履きのまま玄関から外に出る。
捕まりたくない!
「はあ、はあ、はあ」
ザッザッザッザッという足音が近づいてくる。
息が苦しい。校門を出た。
誰か助けて!
バスケ部で走り込んでる奴に叶うわけがない。
追いつかれる…!
そう思いながら横断歩道を渡りかけたとき、俺の右手から中型のトラックが左折してきた。
あっ!
「大門!!!!」
次の瞬間俺は跳ね飛ばされていた。
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