45 / 59
第45話 女王様、彼氏をお持ち帰りする
パキ、と音がしたと思うと強烈な匂いに鼻孔を刺激されて俺は目を覚ました。
「っは!」
辺りを見回すと、中島の寝室のベッドの上だった。
しかも俺は中島の下に敷かれていた。
黒髪でツーブロックのショートマッシュヘアに整った顔の中島がキスしようとしてくる。
「いやだ…やめろ…」
俺は顔をそむける。
なんでこいつこんなことしてんだ?
「大門…俺にさせて…」
え?
俺は全裸で大きく足を開かされ、尻の穴はすでに解されていた。
ローションでテラテラと光っている。
そして、そこに中島の性器が押し当てられていた。
うそ、うそうそうそ!
やだ!
俺は声を上げた。
「やめて、やめて!やだぁ!」
コーヒーに混入された睡眠薬のせいで頭がぼうっとしてちゃんと動きたいのに動けない。
中島の物がぐっと押し入ろうとしてくる。
「ヤダァ!助けて!小山田助けて!」
俺はなんとか侵入を阻止しようと上にずり上がろうとするが、ウェイトが違いすぎてすぐに体制を戻される。
ヤられる…!
俺、女王様として色々やってきたけど、なんだかんだまだ処女なんだよ!!!
なんで眠ってる隙きに下僕に処女奪われなきゃいけないんだよふざっっけんな。
「やめて、中島ぁ!」
「嫌がる顔も可愛い…」
「やめろ変態!くっそお前、何がなんでもするだよ!嘘つき!最低!馬鹿!レイプ魔!」
だめだ、こいつなんかおかしい。また 勢夜陀多良比売 のフェロモンに煽られてやがるんだ。
胸をドンドン叩くがびくともしなかった。
俺がもうここまでかと諦めかけたとき、中島が首根っこを掴まれて後ろに引き倒された。
「小山田!」
「すまん、遅くなった」
小山田も薬を盛られてたのに助けに来てくれた。
「ここを出るぞ」
「わかった」
床に脱ぎ散らかされていた服をサッと身につけて俺は小山田と外へ出る。
中島はぼーっとした顔で床に倒れたまま追ってこなかった。
「あ、坂本は…」
「ご主人様のピンチに寝てる番犬は放っておけ」
そしてタクシーに乗って俺たちは賀茂邸に帰ってきた。
俺は薬が抜けきらず、眠たくて車中で寝てしまった。
そのまま小山田が家の中に運んでくれた。
賀茂さんは今日は中島のマンションに泊まると思っていたらしく驚いていたが、小山田に俺の部屋を教えた。
「やあ、よく来たね。自己紹介はまた明日にして部屋に行くと良い。そこの廊下の突き当りを右に行くと亜巳くんの部屋だ」
お邪魔します、と言って小山田は俺を抱きかかえたまま部屋に入った。
「大門、おい起きろ大門。部屋に着いた」
ベッドに優しく降ろされた。
俺は無意識に小山田の首に回した腕をぐいっと引っ張ってキスした。
「こうしたかったんでしょ?」
寝ぼけてるってことにして続きをしよう。
俺はもう、中島にやられるくらいなら一番にこいつに挿れてもらうことにした。
どうせなら最初は好きなやつにしてもらいたいから。
そう、さっきは忘れたふりをしていたけど、俺も高校のとき小山田のことが好きだった。
キスしてもらいたかった。
別に復讐なんてしなくていいから、小山田に挿れてもらいたい。
「小山田…これ挿れて」
小山田の股間を触る。
スリ、となで上げる。
断られないのを良いことにファスナーを降ろす。
「ん…」
キスされた。小山田が好きだ。好き…
舌を絡ませる。
既に解されている後ろの穴に小山田が指を這わせる。
中をいじられて俺は声を我慢できなかった。
「んんっああ…はぁ、ん!」
小山田の指は節くれ立っていて長い。
中指をグチュグチュと出し入れしてくる。
指の節がひっかかって良い所に擦れるのがたまらない。
「あっあっあんっああっ」
でももっと太いのが欲しい。
「もう、指じゃいや…挿れて…小山田の欲しい…」
「ゴムあるか?」
「いいからそのまま挿れて」
小山田はちょっとためらったがそのまま挿れてきた。
「あ…あぅ…ん、ああっはぁ、全部入ったぁ…」
かなりデカかったが、なんとか受け入れられた。
小山田は見かけはぶすっとしていて愛想がないが、セックスは濃厚でベタベタに相手を甘やかすタイプだった。
ゆっくりと責められ、泣かされる。
しかも絶倫で、声が枯れるまで離してもらえなかった。
俺が中島に襲われかけたことを実はかなり怒っていて、身体中にマーキングするみたいにキスマークを付けられた。
これではしばらく破廉恥なコスチュームは着られそうもない。
仕事に差し障りがあるが、それでも、所有欲をむき出しにされるのは悪い気分ではなかった。
そして俺が初めて好きな相手とセックスしてみてわかったことがある。
俺は基本的にS気質の女王様だが、されるときはMっ気が顔を出すのだ。
小山田に対してだけだが、ちょっといじめられるくらいが一番感じる。
それをわかってる小山田は巧みに俺を攻めてきた。
でもこれは絶対他の下僕達には内緒だ。
古事記で 勢夜陀多良比売 を大物主神 がいきなり襲う部分。勢夜陀多良比売はいきなり矢でアソコを突かれたっていうのに、その矢を家に持って帰っちゃうんだよね。
そしてその矢が美丈夫に変身して、結婚して子どもまで作っちゃう。
俺も、結局小山田という"矢"を家に持ち帰って挿れてもらっちゃったんだよな。
姫様がやることは古代から今まで何も変わんないってことだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
【余談】
一体いつになったら本命彼氏が出てくるのか書いてる自分でも不安になりましたが、やっと彼氏ができました。
素人が書くとこうなるという悪い例で反省しています。
ともだちにシェアしよう!