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第46話 賀茂さんと小山田

翌朝、俺はどういう顔をして小山田と2人でリビングに行くべきか悩んでいた。 「亜巳くん、ご飯だよ」 ダイニングから賀茂さんの呼ぶ声がした。 だめだ、行かないと。 「おはよう」 「おはようございます」 小山田が挨拶し、俺も賀茂さんにおはようと言うが目は合わせられなかった。 坂本を中島の家に置いて、小山田だけ連れ帰ったのは不自然だったろう。 しかも俺の部屋に直行した。 これまで坂本を俺の部屋に入れたことは無かった。 朝食はいつも大体和食だった。 ただ、今日はいつもとちょっと違った。 「あれ、赤飯だ。珍しいですね」 「うん、おめでたいからね」 「え?何かあったんですか?」 「ああ、亜巳くんがやっと夫と一緒になれたから」 「はぁあ!?」 夫?何言ってるの?! ちょっと待って昨日俺たちがやったのバレてるってこと? いや、バレてるとは思ってたけど赤飯とか炊かなくてよくね?! 俺が真っ赤になって何も言えず震えていると小山田が口を開いた。 「どういう意味ですか?」 「まあ、冷めちゃうから食べながら説明するよ」 仕方なく俺は赤飯を食べた。 すげぇ嫌なんだけど…拷問? 「小山田くんって、大物主神の影響かなり受けていて、勢夜陀多良比売がずーっと一緒になりたがってたからさ。亜巳くんが高校生の時からね。で、やっと結ばれておめでとうってことなんだよね」 え…そういうこと?神様の好みで俺たちこうなってんの? 「俺あんまりオカルトとか信じてないんですけど」 「普通の人はそうだろうねぇ。でもまあ、この世には科学では解明できないこともあるんだよ。亜巳くんがこの姿で生きてるのが何よりの証拠だ」 「なんで大門は年取ってないんですか」 「私もそれはよくわからないんだけど、姫様の不思議な力なのかなあ。この見た目でえっちなことするといけないものを見てる気になるよね」 小山田は賀茂さんの発言の真意を測りかねて返答に困っていた。 「あ、ごめんね。俺は最後までやってないよ。仕事上女王様としての仕込みはやったけど、亜巳くんはちゃんと処女守ってたから」 「やめてよ!」 さすがに俺は我慢できなくて叫んで立ち上がった。 「朝からセクハラですからねそれ!!」 「あー、ごめんごめん」 賀茂さんってたまにデリカシー足りないんだよ。 「ごちそうさまでした!」 俺は食器を下げると、洗い物もせずに部屋に引っ込んだ。 ベッドに突っ伏して腕に頭を乗せる。 なんだよ、俺が小山田のこと好きなのって俺の意志じゃないんじゃん。 ただ、姫様が大物主神のこと好きな気持に同調してただけなんだ。 それを言ったら小山田が俺のこと好きだって思ってたのも小山田の意志じゃないってことだろ。 「はぁ~~~。恥ずかしいけど小山田なら良いかなって思ったのに」

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