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第51話 次のターゲット
俺と純はシャワーを浴びて着替えた。
今日のレッスンはこれで終わりらしく、洋服に着替えてリビングに戻ることになった。
賀茂さんが居ないから俺が紅茶を自分で淹れる。
今日はイングリッシュブレックファーストにした。
ミルクを添えてテーブルに運ぶ。
「はい、どうぞ」
「わ~、ありがとう。いい香り」
淹れ方には自信がないけど、茶葉は加茂さんが選んでるから香りも間違いない。
「亜巳にお茶入れて貰えるなんて嬉しいな」
「大袈裟だな」
「だって、目を覚まさないかと思って…」
あ、純は俺が寝てる時から知ってるのか。
「そんな前から俺のこと知ってるんだ」
「うん。でも目が覚めた後も加茂さんがなかなか会わせてくんなくて」
「え、なんで?」
「さぁ。僕が亜巳にとって悪影響だと思ったんじゃなーい?こんな性格だし?」
「えー、俺純のこと好きだな。もっと早く会いたかった」
何気なくそう言ったら純は感激して抱きついてきた。
「亜巳~~!なんて可愛いの!僕の弟♡絶対一生大事にするからね!」
「あ、ありがとう…」
こうやってふざけて戯れあうような関係の人って今まで居なかったんだよなぁ。
「今度彼氏にも挨拶させてね。僕の亜巳をちゃんと幸せに出来る奴かチェックするからね」
「うん」
さてと、と純が真面目な顔つきになる。
「それじゃあボチボチ次のターゲットの話をしようか」
「ああ」
「仁乃と阿久津、この2人はちょっと手強い」
「そうなんだね」
「特に仁乃が曲者だ。まだ若いのに変に捻くれてるというか…逆に真っ直ぐというか」
「高校の時からいい性格してたよ」
「サイコパスなんだろ」
「あー、そんな感じ」
なんか変な奴だったよな。涼しい顔して酷いことするっつーか。
「多分、普通に俺たちが縛り上げて調教してもダメージを与えられないと思うんだ」
「うーん、確かに」
「きっと笑って、こんな経験も良いとかそんな程度で終わっちまう。かなりの変態野郎だからな」
「うん…」
「基本的にはこいつがサド気質だから、若い女の子を調教して遊んでるようだ」
「そういうお店に出入りしてるってこと?」
「ああ、店にも出入りしてるし個人的に付き合ってる女も数人調教してる」
「うへぇ…気持ち悪」
そういや中島が極度の男嫌いって言ってたな。その反動で女の子ばかり調教してんのか?
「仁乃と中島は一応友人だから、誘き出すとしたら中島の役目だな」
「うん」
「その後だが、僕がちょっと考えてる方法があるんだ。人道的にいうと良くないが…でもこれくらいしないとあいつにダメージは与えられない」
「何なの?」
純は一旦言葉を切って紅茶に口をつけた。
口を湿らせてから再び話し出す。
「Salomeの常連の中に仁乃の父親がいる」
俺はその先を予想して背筋が寒くなった。
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