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第52話 恐ろしい作戦
要するに、仁乃は親父さんを使って締めるってことだ。
「一体どうやるんだ?」
「うん、僕の考えだとぉ~」
コソコソ、と耳元で大枠を教えられる。
俺は危うく口に含んだ紅茶を吹き出すところだった。
「え、そこまでやる必要ある?!」
この天使のような見た目でなんてえげつない提案を…
でもきっとコレしかない…のか?
「よし、じゃあ後日みんな集まって打ち合わせだね」
そして久しぶりに、というか純も含めると初めて賀茂さんの家に俺と下僕たちが勢揃いした。
(諸事情により井上は除く)
中島は前回レイプ未遂が起きて以来の再会だ。俺はちょっと警戒してたけど賀茂さんが間を取りなしてくれた。
それがまたとんでもな話で俺は紅茶を吹き出しかけた。
「中島くんと坂本くんは、実はいわゆる狛犬なんだよね」
「はぁ?」
「ほら、神社にいるでしょ、2匹の狛犬」
「はい…」
「あれが宿ってるんだよね~。だからこんな感じで2人とも亜巳くんに従順なのさ」
「はぁ…」
「で、狛犬って本当は犬じゃないんだよね」
「え?犬じゃない?」
「すべての神社がそうってわけじゃないけど少なくとも下賀茂神社は獅子と一角獣なんだよ」
「え、ライオンってこと?一角獣は…ユニコーンとか?」
「そうそう、ライオンとユニコーン。坂本くんがライオンで中島くんがユニコーンなんだよ」
「はぁ…?!」
「まあ、亜巳くんにお姫様が取り憑いてるみたいな感じと思ってよ」
「な…なるほど…」
そう言われると納得するしかない。
「それで、ユニコーンってどんな生き物か知ってる?」
「あまり…なんていうかキラキラしたツノが生えた馬?的な?何年か前にゆめかわとかって流行ってましたよねたしか」
「そうだねぇ。ゆめかわね…。日本だと可愛らしいイメージが先行しがちだけど、西洋ではかなり獰猛で手懐けられない生き物という認識なんだ。そして、このユニコーンを唯一手懐けられるのが処女だと言われている。ユニコーンは処女が大好きってわけ」
「へっ!?」
「そんなわけで、中島くんが亜巳くんのことを襲ってしまったのも…まあ無理はないというか。亜巳くんの力に当てられて、本来の性質が剥き出しになってしまったんだと思うんだ」
「そうだったんだ…」
俺はチラッと中島を見た。
しゅんとして項垂れている。
「でも安心して!ほら、亜巳くんはもう処女じゃないから襲われることはないから!」
賀茂さんがそんなことをいきなりみんなの前で言うから俺は立ち上がって抗議した。
「だ、だから賀茂さんはそういうデリカシーのないことを言わないでくださいっ!」
「あ、そうだった。ごめん…」
ここにいるメンバーは俺と小山田が付き合ってるのは知っているから隠す必要も無いのだが、こんな風に言われるのは恥ずかしかった。
「大門、本当にすまなかった…小山田にも謝る。すまん」
中島が改めて謝罪してくる。
「ああ…もういいよ…怒ってない」
「俺も怒ってないから気にするな」
こうして一応仲間内の揉め事が解決したところで、次の作戦の説明に入った。
計画を立てた純が主導で話を進める。
「仁乃と阿久津は正直かなり手強いと見てる。SMの経験値で言えばうちの亜巳なんかよりも何倍も年季が入ってる。人を動かすのに長けてるし、こちらが捻じ伏せようとしてものらりくらりとかわされる可能性が高い。そこで、仁乃の父親を利用する」
そこで一瞬全員に緊張が走った。
「仁乃の父である#仁乃司__じんの つかさ__#と親子で絡ませる」
「ええっ!?」
「2人とも目隠しで会わせて、父の司に仁乃の後ろを掘らせる。そして、やってる最中に仁乃のアイマスクを外して相手が誰かをわからせる」
辺りがしーんとなった。
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