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第5話

目が覚めると、涙が頬を伝っていた。 懐かしい夢を見た。 もう顔も思い出せない、幼い頃の友達の夢を。 高校生の時に、遊馬は自分の属性を知った。 "アイス" 好きになった人間に想いを告げて、触れ合うと水になって消えてしまう。 それ以来、人付き合いは慎重にしてきた。 想いを告げられたら、こっぴどく振り避けてきた。 何度か苦しい別れをしたが、それでも一切自分の気持ちを告げる事は無かった。 幸か不幸か、未だ想い合うジュースには出会っていない。 出来るなら一生会わずに過ごしたいと思っていた。 「消えるのは…嫌だ。」 遊馬はジュースに出逢わずに、穏やかな一生を過ごしたいと願っていた。

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