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第7話 潜熱

2人の荒い息遣いと、ソファの軋む音が夜中の静かな室内に響いた。 「あ…はぁ、はぁ、あんっああ!」 「静音…静音…」 名前を呼ばれ、キスされる。 口の中を蹂躙されて恍惚となる。 もっとして… 上野は優秀な学生で、将来は脳外科医を目指していると言っていた。 頭が良くて、身体も鍛えていて、優しいので女子学生にもモテる。 その男が今は獣のように僕を求めて覆いかぶさり腰を打ち付けているのだ。 こんなこといけないのに…ああ…気持ちいい… 僕は程よく筋肉のついた広い背中をぎゅっと抱きしめる。 男にこうして揺すぶられるのがこんなに気持ちいいとは。 高校時代にいたずらで上級生たちに触らせていたときは、もちろんセックスなんてしなかった。 ただ前を触って気持ちよくなるだけ。 今まで自分は人並みか、そこまで性欲は強くない方だと思っていた。 でも中に入れられるのってこんなに気持ちいいんだ… 辛いことなどどうでもよくなる。 頭が真っ白になって、イクことだけ考える。 何も考えなくていいくらいめちゃくちゃにして欲しいと、はじめてのセックスなのに思った。 これだったんだ、僕が求めていたのは。 男に勉強で勝つことでも、言いなりにさせて従えることでもない。 僕は大きな体に押さえつけられて、激しく揺さぶられたかったんだ。 そうはっきり自覚してしまった。 認めたら、ストンと胸に落ちて気持ちが楽になった。 なんで勝たないといけないなんて思ってたんだろう…馬鹿だった…こんなに気持ちいいのに… 頭がふわふわして、ずっとこのままでいたいとすら思う。 「うっ、もう出そうだ…」 「ああっいい、僕もイキそう…っあ!」 上野は低く唸って果てた。すぐに僕も後を追って痙攣しながら精を吐き出した。 僕の出した液体が上野の引き締まった腹を汚すのを見ながらしばし呆然としていた。 上野は汗の光る額を拭って、僕にまた口付けた。 その目にはまだ欲望の残滓が消えずに燻ぶっていた。 明日は授業があると頭の片隅で思いながら、僕は両腕を持ち上げて上野の頭を抱きしめ口付けに応えた。

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