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閑話休題-バスルームです。***
僕は湊先生の家にいた。もっと具体的にいえば、湊先生とお風呂に入っている。ヒートに対して抑制剤はきちんと効いていたけれど、僕の場合完璧にないことにすることは、まだできないらしい。
少しだけ怠いからだは湊先生の腕の中にあった。湊先生は僕の僅かに出ているフェロモンにあてられて、僕のかたい革製の首輪に鼻先をうずめている。
「遥くん、いいにおい」
すん、すん、と僕の背後で湊先生が鼻を鳴らす。僕自身はどんなにおいかわからないので、そんなに嗅がれるとちょっと困ってしまう。でも嫌な気はしない。
「どんなにおい?」
気になって訊いてみた。そういえばヒートのときは、今までこんなに理性が利くことがなかったので、そこまで気が回らなかった。
「んー」と言いながら、先生は僕のうなじで鼻を鳴らす。
「果物……桃みたいなにおい、かな?」
美味しそう、と革製の首輪とうなじの境目にキスされる。僕はうなじから食べられてしまうような感覚になった。舌が這って、耳の裏をぺろりと舐められもした。
「ひゃっ」
くすぐったいような、なんでそんなところを舐めるのか、よくわからない感じになる。僕を抱いていた腕も意味ありげな動きをしはじめる。相変わらず薄っぺらな胸の表面を、さわさわと手のひらが撫でていく。ちゃぷ、と水面が波立つ。
「んっ」
僕より大きな手のひらが乳首を見付けて、転がしたり、爪先で潰したりする。そうなるともう僕のからだは熱くなってくる。腰に湊先生自身を感じると、下腹部がじん、と痺れる。お湯に浸かった左右の太ももを、もじもじと擦り合わせはじめてしまう。僕も「待て」ができないけれど、湊先生も大概だと思う。
僕がからだの向きを変えると、今度は向かい合った状態で、湊先生は僕の首すじに顔を寄せた。ふたりで一緒に浸かるにはやや狭いバスタブで、僕は湊先生の頭にしがみつく。高く上げた腰に、先生の手が伸びる。慣れた手つきの指先は簡単に後孔を見つけ出して、つぷ、と押し入ってきた。
「あ……っ」
浴室は自分でも驚く程声が反響した。慌てて手のひらで口を押さえる。その間も先生の指は僕の中を押し拡げていった。
「ぁ……んんっ」
お腹の中に入ってくるのが気持ちいい。同時にちょっと物足りない。僕のからだが欲しいのは湊先生の指じゃない。
そんなことを思っていたら、中の指の本数を増やされた。
「ふ、……んっ」
指の間から声が漏れると、急いで声を飲み込む。それが湊先生としては不満らしい。
「遥くん、声、聴かせて」
指の抽挿が激しくなる。気持ちいいところを何度も擦られて、僕の膝が震える。
「や……あ、ん……んっ」
自分の嬌声が反響して、耳が熱くなる。恥ずかしい。それなのに湊先生は僕がイくまで、手を止めないつもりらしい。指の動きに合わせて、くちゅ、くちゅ、と立つ水音に、脳がくらくらする。
「んっ、んっ、ん……ぁっ、だめぇ」
思わず湊先生の首にぎゅぅとしがみつく。目の前が真白になって、膝のちからが抜けた。大きな水音を立てて、僕のからだは湊先生とバスタブの中に戻った。
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