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第121話

そこから暫く…熱が冷めるまでの間、法月はずっとそばに居てくれた。 適当な世間話をしつつ、自らも出たり入ったりを繰り返して。 先に上がって良いと言っても、他の客に竹内さんのセクシーショットを見せるわけにはいかないだの何だのと聞いてはくれず 何だかんだで俺を心配してくれている事は明白なので、強くは出られないまま時間が過ぎた。 ふと法月が立ち上がり、煽られた波が膝を濡らす。見上げれば、濡れた髪の毛を耳に沿ってかき上げる横顔が煌めいて。 …色気に塗れたセクシー野郎はお前の方だろうがと言ってやりたいよ。 「さ、そろそろ出ますか。もう動けますよね?」 「あ、あぁ…意識ははっきりしてるんだが…。」 「何か?」 強がって、無理してでも動くべきか それとも手を貸してもらおうか。 足は湯に浸かっていて確認は取れないが、多分腫れている。多分じゃない、絶対。 それに今平気なフリをしたとて、旅館を出たら電車移動だ。土地勘のない場所なのだから、下手すれば彷徨い歩く事も考えられる。 どうせいつかバレるなら、今迷惑を掛けたついでに追い迷惑を掛けても法月だったら許してくれるんじゃないだろうか? 「…昨日の夜、実は足を捻ってしまったみたいでな……あまり動けないんだよ…。」 「はい?佐々木君は一体どんなプレイを強要したんですか。」 「ちがっ、違うぞ誤解するな。」 一瞬にして顔色を変えた法月に恐怖で心臓は跳ね上がり、慌てて法月の腕を掴んだ。 「竹内さん、それちんこです。」 「間違えた今のは本当に間違えただけだ悪い。」 改めて、法月の腕を掴んだ。 「俺が勝手に転んで、佐々木は動けない俺を助けてくれたんだと思う……だから本当に、あいつは悪くない。」 「…そうですか。それならいいですが。」 お前やっぱり佐々木の事嫌いだろ。 そう思わずにはいられない。 法月に限って佐々木に何か手を出す様なことはしないと思っているが、変な誤解を生まないように俺も頑張らないと。 佐々木が冤罪で嫌われるのは、あんまりにも…あんまりすぎるしな。 「じゃあこのまま行きますよ。掴まっていてくださいね。」 「え?あちょっおい、んゃ…ッ!」 肩でも貸してくれるのかと思いきや、いつでもこいつは予想の斜め上を行く。脇から手を忍ばせると膝の裏にもう片方の手を差し込み、軽々と俺を持ち上げる法月につい力の抜けた声が出た。 直後、堪えるような唸り声がした気もするが…恐らく俺が意外にも重かったという事にしておこう。成人の男をあまり舐めるなよ。 完全に横抱きにされてしまい、床の滑る場所では流石に抵抗など出来るはずもなく。 「……み、見るな…よ?」 「ん゛ッ……善処します…。」 風呂に入っていた時よりも法月の顔が赤みを増しているようにも見えるが、きっとこれも、俺が思ったより大きかったからだ。よし、嬉しい。

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