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第123話
悪意がないとはいえ、人の脚をぱっかり開いているバカを見過ごすわけにはいかない。
渾身の平手打ちに、やり慣れていない手はビリビリと痛む。法月の髪が大きく揺れ、顔に飛沫が飛び散ったがそれを気にしている暇はないのだ。
「お前…や、辞めろ急に変なことするのは…!」
頬を手で押さえたまま動かない法月に罪悪感を抱く前に、可能な限り捲し立てる。
「だいたい上司の身体を隅から隅まで拭こうとしやがって…確かに俺も楽をしようと思った部分はあるがいくらなんでもやり過ぎだろう!
少し気を許したからってあまり行きすぎた事をするのならお前とはもう本当に口を聞かな──ッ?!」
次から次へと出てくる文句を、今回は自らの意思で口に出して騒いでいたその時だ。
視界は突然ひっくり返り、先程尻に敷いていたふかふかタオルが背中を包んだ。
「さっきから…意識しすぎなんですよあなた。僕だってこんな事したくないですけど、相手が竹内さんだとちょっとおかしくなるみたいです。」
「……へ?」
それまで彼が持っていた脚を引きよせられ、その場に押し倒されたのだと理解するには時間がかかった。
だがそれより先に気付いてしまったのは、法月の…触れるだけで再び逆上せてしまいそうな体温で。
「自分がどれだけ魅力のある人なのか、もう少し自覚したらどうですか。仏じゃないって言いましたよね。」
「ちょ、は?急にどうし……法月っ。」
「こんなの初めてなんですよ。こんなに誰かに惹かれたの…。竹内さんが、初めてなんです。」
意味を成すかも不確かな、ほんのタオル一枚で隔てた法月の身体は
何処もかしこも色気に塗れて、綺麗で、格好良い。
どうしてこんな出来すぎた奴が、俺のような平凡以下の貧相な体格の男に欲情している。いつまで経ってもわからない。
法月の湿った指が、足首から順に上へと走り出す。くすぐったさとも違う、妙な疼きを与えられながらもこの身体は驚きで抵抗を忘れたまま。
腿の内側をつぅっとなぞられ、慣れない感触にびくりと小さく肩が跳ねた。
「いいんですか?さっきみたいに叩かなくて。
…このままじゃ、触っちゃいますよ。佐々木君に可愛がられた所、どうなってるのか……見えちゃいますよ?」
「っや、待て…って、のりづ……ひぁ…うッ。」
佐々木の熱だって、まともに覚えていないのに。
自分で触れるには嫌悪感すら抱く後孔へ
法月の指が、触れる。
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