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第154話
「お前……本気で、言ってるのか。」
「冗談に聞こえた?」
「聞こえない、けど……。」
そんな残酷な事があるか?
言ったのは自分なのに、苦しくて、今すぐここから逃げ出したい。
現実があまりにも…辛過ぎて。
「俺か竹内さんのどっちかが耐えられなくなるまで…って、期限だけ付けとこうか。」
でも、今佐々木を手放せば
それこそこの先の未来に希望があるとは思えない。
耐えられなくなるまで、か。
俺を嫌う可能性、それとも相手との進展を願う諦めない気持ち。どちらがお前の中で大きいんだろうな。
俺が耐えられなくなる…なんて時もいつか来るのかな。もっと佐々木を好きになって、身体だけの関係が苦しくて逃げるか?
…いやいや。そんな事ないだろ。
どうせ諦められないんだ。どうせいつまでも佐々木の事が好きなんだ。
昔みたいな上辺だけのそれとは違う、明らかに強過ぎる感情。気持ちが俺に向いてくれなくても、その手でもう一度触れてくれるなら。
俺は喜んで、哀れな心を殺して見せよう。
「そう、だな…ありがとう。嬉しいよ。」
言い終えるより早く引き寄せられた圧迫感は息の吸い方をも忘れさせ、もがいた指が器用に結われている髪ゴムに絡まる。
はらりと解ける頭髪は掌に散らばり、知らない匂いの中で僅かに残る佐々木の香りを探して。
回した腕を軸にして膝の上に乗り上げれば、佐々木と目線が同じになった。哀愁を漂わせ、眉間に皺を寄せながらも口元だけは笑っている、ちぐはぐな表情だ。
少し大人びた顔つきで、けれど俺よりはずっと若いのがわかる澄んだ瞳。そこに映るのは、汚くて、醜く貪欲な男の姿。
ごめん。佐々木、お前の人生を狂わせて、それでも縋り付いて…ごめん。
でも、もう
身体はお前を我慢出来ない。
「たけうっ、ちょ……。」
佐々木に跨ったまま、乱暴に自身のズボンを脱ぎ捨てた。サイズなんて元から合っていないんだ。片足さえ抜いてしまえばするりと床に落ちる。
露わになった下着の中心部は、既に主張を始めていて。
「ってくれ…。」
「え、あの──。」
「触れ、佐々木の手で……頼む。」
「──ッ、」
なんて浅はかなんだろう。
なんて最低なんだろう。
無理矢理乗り上げたのは俺なのに、それでも転げ落ちないよう腰を支えてくれた優しい佐々木の手を強引に剥がし、腹の下へと誘った。
佐々木の意思はそこにはないのに、ただ俺のじゃない骨張った指先がそこに触れただけで
全身がざわめき立つ。
無駄に長い服が邪魔で、裾を咥えてみせれば
ようやく佐々木の目の色が変わっていく気がした。
「おねだりするのは…上手いっスよね。流石に今日は途中じゃ止めねえよ。……いいの?」
臍の周りをくるくると撫でられ、擽ったさに腰を捻る。あぁ、初めてお前をこの家に泊めたあの夜も…始まりはこんな動きだった。
「…ぉめるひふようが…どこにあう。」
止める必要なんか何処にもない。
もう俺は、俺達は、とっくに線を越えてしまった。
下着との境目を見つけた爪が、カリと小さく肌を掻く。
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