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番外編1ー4 抜いて*
「ほら。朝抜かないと。一日欲求不満になるだろう?」
「ならないけど」
「おれが」
唇が触れ、そのまま舌が入り込んでくる。実篤の指が触れる場所が熱い。耳の下、顎にかかった手で顔を持ち上げられて、更に深く口付けを交わした。
「一日欲求不満だと、おれなにするかわからないよ」
――そんなことは知ったことではない。
いや、それは冷たい言い方などではなくて、実篤がどうなるかなんて知らないということだけど……。
ざらついた実篤の舌はしつこい。もう時間だから止めて欲しいという意思表示をしたく、彼の舌から逃れるようにしているというのに、どこまでも追いかけてきて絡まってくるのだ。
「実篤は遅刻ないかもしれないけど、おれは遅刻したくない」
「いいじゃん。たまには。じゃあ明日からはもっと早く起こせよ。それともこういうシチュエーション期待して寝かしておいた訳?」
「意味がわからない」
会話をするために離れていた唇が、再び重なった。
せっかく身支度をしてきたばかりなのに、実篤の指がネクタイにかかってシュルシュルと音を立てた。
「ダメだって」
口角からあふれ出す唾液を気遣いながら、見上げると理解した。
――もうすっかり、止める気はなさそうだな。
流れ落ちる唾液を舌でなめ上げられ、再び口の中に入り込んでくる実篤の舌は熱くてじりじりとした。
「時間ないし。さっさと終わらせたほうが賢明じゃないか? 雪 」
「それは――そうだけど」
「じゃあいいじゃない。手でいいよ」
ぐっと握られて、乱暴に持っていかれた場所は実篤の下半身。服の上からでもわかるくらい大きく硬くなっている。
「ほら。こんなんじゃ仕事にならないでしょう?」
「そうだけど――」
実篤に促されたとはいえ、実際に彼に触れると動悸がした。自分も興奮しているということか?
指でそっと形に撫で上げると、実篤は吐息を漏らす。
「気持ちいいの?」
「そりゃそうだろう。お前に触れられただけで、すぐにこうなるよ」
――ああ、やっぱり。
「発情期?」
「うるさい。男はいつでも発情期だろう?」
「そう、かな……」
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