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台風警報③
しかしその次の瞬間、ガラリと扉の開く音がした。入れてもらったばかりの先生の指が抜けていき、それが嫌でぎゅっと締めるが無駄な抵抗に終わった。
「あれー? 先生いないじゃん」
山下の間の抜けた声にイラだって下唇に歯を当てたら、先生に耳元で囁かれた。
「お弁当、持ってきてくれたね……行っておいで?」
先生と離れたくなくて、きゅっとその首に抱きついてから俺はベットから降りた。そして先生を残してカーテンを開いて出ていき、中が見えないようにすぐに閉める。
「あ、いずもん! ほら、弁当……って、あれ? 大丈夫? また顔赤い……」
差し出された弁当を受け取り、視線を向けたら彼は急に黙ってしまった。ごくりと喉仏が上下している。頭がぼーっとしてふらふらする。自分の吐く息が熱い。
「ありがとうございます」
お礼を言うが、随分気の抜けた鼻にかかった声が出てしまった。
「いずもん……中でなんかしてた?」
俺は質問に答えなかった。ハヤトとのことを知ってると言い、自分勝手な振る舞いをしてくる彼に今更どうこう誤魔化す必要性を感じない。しかし調子に乗った山下は汗ばんだ首筋に手を伸ばしてくる。
「汗かいてる……いずもん、首細いな」
首と顎の境目に触れられ身をすくめる。
「んっ……」
「わ……こんなんでも感じるんだ」
「やめてください」
自分の好きなようにできるとしか考えていないのだろう。俺が手を振り払うと彼は明らかにむっとした表情を見せた。そんな山下を潤む視界で睨みつけた。
「さっきの話ですが。俺がそういうことをしてたら何なんですか。貴方に関係ないでしょう」
女子生徒が恋人と性行為をしていたって一々干渉しないだろうに。俺になら何をしてもいい触ってもいいと思っっているのならば失礼だ。しかしそんなこと理解できない彼は俺の気持ちよりも“ 本当にそういうをしている”という事実に食いついてくる。
「やっぱりヤッてるの? マジかよ……いずもん、エロいこと好きなんだ……」
顔を顰めて顎をさする彼に近づいた。しかし近寄ると一歩下がる。こちらからいけば弱腰になるなんて情けない。思わずクスクスと笑いだしてしまった。
「だったらなんなんですか。彼女ができないからって男友達に抜いてもらおうとでも思ったんですか?」
「ち、違う。そんなんじゃなくて、いずもんってそういうのからかけ離れた存在だと思ってたんだよ。だから、ショックで……」
煽ってやろう、プライドをズタズタにしてやろうと下腹部に手を伸ばす。驚いて腰を引いているが、半開きの口で食い入るように下半身を見守るその視線は明らかに期待している。そっと男性器のあるだろう場所に触れる。するとそこはしっかり立ち上がっていた。そしてわざとらしく吹き出して笑ってやる。
「その割には期待してるみたいですね」
「違う、違うんだよ! 俺、いずもんがあいつに無理やりされてたらって……嫌がってたらって心配でそれで……違うんだよ……」
「そんなふうに思っててあんな触り方したんですか? 最低じゃないですか」
言い訳にしても酷い。悪戯に性的興味を引かれただけか、自分も便乗したかったとしか思えない。冷めた目を向ければ、山下は額を押さえて俯いた。
友人として自分は彼を好いていた。だからこそ腹が立つ。
「もうほっといてください。あの大鳥ハヤトに抱かれてたんですよ? あなたなんかの相手すると思います? 第一、こんな……」
彼の形をなぞり、さすりながら“ 髄分と可愛らしいですね”と馬鹿にしたように上目遣いで声をかけると、山下は真っ赤な顔をして俺の手を払い除けた。下唇が真っ白になるほど噛み、震えるほど拳を握っている。やりすぎたかなと思っていたらブンッと風を切る音と共に拳を振り上げられ、反射的に目を閉じて顔を逸らした。しかし拳が飛んでくることはなく、そっと瞼を開けると、山下は振り上げた拳を静かに下ろした。手の力は緩められ、そっと頬を手のひらで包まれる。
「ごめん」
それだけ噛み締めるように呟き、彼は走り去ってしまった。下を向いていたために表情は分からなかったが、最後のその言葉だけでじわりと罪悪感がわいてくる。
しかしそんな感情はお弁当と共にテーブルへ置いていき、カーテンの中に戻った。ベッドに腰掛けて待っていた先生においでと手招きされ、膝に飛び乗るように抱きついた。
「ちゃんとできましたよ? ご褒美ください」
胸板に頬ずりし、シャツから覗く鎖骨にちゅっちゅっと口付ける。ほしくてほしくてたまらない。
「あそこまで言われたら……近づいては、来れないだろうねぇ……」
頭を撫でられ嬉しくなったが、次の瞬間には頬を抓られた。
「でも……ちょっと、あれは……えっちすぎる。悪い子」
「そんな。じゃあご褒美もらえませんか?」
先生の膝におしりをすりすりと擦り付けておねだりする。高校三年間の付き合いである彼を突き放すためにはどうしたらいいか考えて頑張ったというのに。三年間。ふとその短いとは言えない時間を思い返して寂しさが走り抜ける。しかしそれは見ないふりをして先生の首筋に口付ける。
「ご褒美……じゃなくて、おしおき」
「それ内容変わるんですか?」
「一緒、かも」
とぼけて笑い合い、先生はくるりと俺の体を反対に向けた。背中から抱っこされる形になり、そのままズボンと下着を脱がされる。足は自分で抜き取りジャージも剥がされ、体操服のシャツと靴下、上履きだけが残った。ただでさえ間抜けで恥ずかしいのに、女の子がおしっこさせてもらうみたいに足を抱えて大きく開かされどんどん羞恥心が煽られていく。
「は、恥ずかしいです……このかっこ、嫌です……」
「じゃあ、ちゃんと……おしおきに、なってるね?」
膝の下に腕を入れて抱えたまま、男性器をぬるぬるに汚す我慢汁を左指に取り、お尻の穴を撫でる。柔らかいそこはすぐに先生の指を飲み込もうとうごめく。
「こんな格好で……あな、ひくひくさせて。この間たくさん、イッて……本当に女の子みたいに、なっちゃったね?」
ゆっくり指が侵入してきて呼吸がうまくできない。ハッハッと短く息を吐きながら指を待つ。そして先生の指が奥までぬるりと入れられ、中を拡げるようにぐるりと壁の感触を楽しんでいる。
「あ……あ……っ」
足の指がぎゅっとなってるのが目の前で見えてなんだか恥ずかしい。
「中、熱い……気持ちいい?」
「きもちい、です……もっとごしごし、ほしいです……」
「どこ?」
ゆっくりゆっくり指を抜きながら問われる。先生の指の関節が通過するたびゴリゴ リと中や入口を刺激して気持ち良くてたまらない。排泄している時に近い感覚だが、先生に刺激されるとどうしてこんなに気持ちがいいのだろう。激しい快楽ではないが、抜けていく度に自分がダメになってくのがわかる。
「あぁ、あぁぁー……きもちいー、きもちいー……しぇんしぇ、きもちいいー……」
「馬鹿みたいな顔、しちゃって……たまらないね」
「んん……ばかに、なってる……あ、あぁ、ン……きもちいいの、ばかになるぅ……」
ただ気持ちよくなりたくておしりをきゅっとしめて先生の指におしりの穴がもっとよく擦れるようにする。ああ、やっぱり締めると気持ちいい。気持ちいいことしかもう考えられない。
自分のお尻からちゅぽ、ちゅぽ、と聞こえてくる度に耳まで感じる。下に少し目を向けると上を限界まで向いたおちんちんが触って触ってとぷるぷるしていた。あんなに我慢汁をたらして……床まで汚れていそう。
「おちんちん……っ、あ、しぇん、あ……おちんちんは……あ、あ」
お尻の中をなでなですりすりされたままだと上手に話せない。おねだりしたいのにもどかしい。もう自分でしてしまおうと手を伸ばすと、その手を叩かれた。ひっと声が出る。
「触っていいって……言った?」
「あ、あ、だって、あぁ……しゃべれにゃ、あっ……」
「そんなに……扱きたい? おねだりは?」
「あっ、あっ、だめしょこ、ぜんりつせんっ、あっ、あっ」
今まで穴を刺激する動きだったのが急にお腹側の壁、前立腺やその周りを捏ねるような動きに変わる。まったりととろけるような快感から、脳を揺さぶるような激しい刺激になり、ますます言葉にならない。おねだりを要求してくるのに喋らせないなんてひどい。
「いいの? 触らなくて」
「ひゃっ、や、やだ、ダメッ、せんせ、だめだめだめ、あっあッ! きもちいッきもちいッ」
「じゃあ……こっちはいらない、ね」
右手がツー、とおちんちんの先っぽに触れる。指を離して、くっ付けて、離して、くっ付けてを繰り返し、ぷちゅ、ぷちゅ、と我慢汁が糸を引いて先生の指から離れない。もっと、もっとごしごしして欲しい。もっと頭空っぽになりたい。
「せんせ、やだっ、ほしい、ン、おちんちんほし、ひぃ、さわって、さわってくだひゃっ、あッ、ほしいよぉ……っ」
気持ちいいのと、もっとほしいのと、先生の期待に応えられないので頭がぐちゃぐちゃになる。先生の言うこといい子でちゃんと聞きたいのに。気がつけばぐすぐすと鼻をすすり、泣きながら喘いでいた。喘ぎにまじってしゃくりあげていると、先生が気がついて指の動きをゆるめる。
「あ、せんせぇ……ぐすっ……ぅ、せんせい……」
「出雲……?」
膝は抱えられたままだが、先生は俺の首筋に顔を埋めて優しくそこに唇を滑らせる。
「いじめすぎた、ね。ごめん」
「ちがっ……せんせい、ごめんなさい……上手に、おねだりできなくて……悪い子でごめんなさい……」
なにも考えられないほど知能が下がってしまったせいなのか感情の昂りも激しくボロボロと涙が出てくる。ひっくひっくと声が出て、それでも時折指がわずかに動く刺激に喘ぎ声が混じる。頭がおかしくなる。
指を動かさずにしていた先生が、ぐりっと前立腺をえぐる。突然のことに声も出せずに仰け反った。
「ゾクゾク……する」
肩にかかる息が熱い。はぁーと長く息を吐く音がする。
「出雲…………ぼくの。君は、僕の。いい子だね」
優しい声に合わせて、じっくりと前立腺が撫でられる。先生が大好きでなでなでして欲しくてぷっくりと腫れた前立腺を、押し回すように愛でる。
「出そうか。上手に、イケる?」
「あ……あ……いけます……ん、先生、いきたいです……せんせぇ」
「うん。いこうね」
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