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全ては水の泡② ※先生視点
今は、ここにいる間だけは、この子は僕の目の前にしか存在しない。できる限りこの時間を長く過ごせるように、間違いが起きないようにしなければ。
「抱っこしていい?」
「さすがにキッチンは狭いのでは……あっ! せんせい、もう……」
一声かける約束はしたが拒否をされたら抱っこしないとは約束していない、はず。腰から抱き上げコーヒーを奥へやり、Tシャツが捲れて大分際どい出雲をキッチン台に座らせた。
歯形を付けた右の太ももを持ち上げるとTシャツの裾がさらにするすると下がっていくが、股のところで生地がたるんで意外と中までは見えない。
「先生、あの……キッチン台は嫌です」
「うん?」
「他の場所で、んっ……」
股を開かせて内腿に浮かぶ歯形を撫でる。僕の歯並びにぴったりと一致するはずのこの痕は、こんなにくっきりと浮かんでいても若い君の肌からはすぐに消えてしまうのだろう。
「他にどこに噛み跡がついていますか?」
「肩と、二の腕……」
「こんなにくっきりつくんですね」
「痣ができやすい場所を、選んだ。大丈夫……すぐに、全部なくなる」
どこもそれぞれ愛しくてたまらなかったけれど、ここは肉が柔らかくて食いちぎってしまいたくなった。そうすれば一生残る傷になる。
「なくなってしまうのは悲しいです。消えたらまたつけて下さいますか?」
「痛く、ないの?」
優しく撫でたあと爪を立てると、吐息を漏らし目を閉じた。そして潤んだ上目遣いをして、出雲の指もそこに触れる。歯形の上で指先と指先が触れ合いそうだ。
「あの……気持ちよかったんです。ごめんなさい」
「ほんと? なら……もっと、股を開いて」
足を開かせるとたるんでいた布地が横に張り、中央で興奮したモノに押し上げられる。少し間抜けなのが可愛くてTシャツ越しに二三度だけさすったら、やめてくださいと怒られてしまった。
噛み跡のない綺麗な左足の太ももに唇で触れる。膝の内側から始まり、少しづつ足の根元向かっていく。太ももの一番太いところへ到達した時には、出雲の足の間で立膝になっていた。
はじめはそっとそこに歯を当てる。じりじりと歯を食い込ませていくと、滑らかな肌の抵抗を感じて腹の奥底が熱くなった。抵抗など無駄だとわからせるために顎にも力を入れ、唇をぴったりと当てて低圧状態にして吸い付いた。
「あっ……あ、ぁ……」
顎に力を入れギリギリと皮膚を揺すり、切れない肉を噛み切る時のように歯を立てる。周囲の皮膚には吸い付いて、中央には舌を這わす。
「せんせい……痛い、いたいです……いたくって、きもちい……」
キッチン台に手をついて腰を突き出し、もっと噛んでと言わんばかりに腰を前後に揺らす。それに合わせてTシャツの下の男性器が揺れ、運悪く白いTシャツだったためにわかりやすくシミを広げていった。
「先生……? もっと、もっと強く噛んでください……消えなくなるくらい、つよく……」
綺麗な歯形をつけるためには口を離せないため、顎にさらなる力を加えることで返事をした。
「痛ッ……! はあぁっ……!」
出雲の爽やかな汗の香りといやらしい我慢汁の臭いがする。こんなに強く噛まれて快感を感じてる。
皮膚をこのまま食い破り、肉をちぎってしまいたい。普段あまり肉も魚も摂らないけれど、君の肉は美味しそうだ。
そんなことを考えたら、鼻腔をくすぐる香り達に鉄の匂いが混じる。人間らしい生々しい臭いの中で、出雲の汗から香るグレープフルーツのような爽やかさだけが浮いており、あまりにグロテスクだ。
「はぁーっ……」
荒く息を吐きながら唇を離す。
紫色の噛み跡は犬歯の生える二箇所から血が滲んでいた。
「ああ、せんせい……ここまでやってしまったら、消えずに痕が残ってしまうのでは?」
自分の人差し指に軽く歯を当てながら、紅潮した顔で出雲が嬉しそうに言う。それを聞きながら僕は夢中で血を吸っていた。
「保健の先生なのに血なんか舐めて……ん、ちょっと染みます……感染症になるんじゃありませんでしたっけ?」
「だめ? 舐めたい、ほしい」
唇を離して出雲を見上げ懇願する。待ってる間にもそこを舐めたら頭を撫でられてしまった。目を細めて微笑めば涙袋が柔らかく浮かぶ。
「どうぞ。お好きなだけ召し上がれ」
「うん……いただきます」
まずは歯形に口付けをして改めて挨拶をし、ぺろぺろと切れた箇所を舐め回した。
「ん、あっ……せんせい……せんせいに、食べられちゃいますね? 血液って栄養あるんでしょうか」
「君の正しい食生活なら、きっと。消化効率は……どうだろう」
「先生、もしも俺の足を切り落とすようなことになってしまったらきちんと召し上がってくださいね」
「そんなこと、しないよ?」
太ももから唇を離して立ち上がり、キッチン台に座る出雲を抱きしめた。左足を撫でる。滑らかで真っ直ぐで、こんなに綺麗な足にそんな酷いことしちゃいけない。
「僕に美味しく調理は、できなそうだし」
「そうですねぇ……ふくらはぎは鶏のササミみたいな感じだったりしませんかね? ササミで作った鶏ハムは美味しいですよ。骨はカニバリズムを題材にした映画などだとスープにしてますかね」
平坦な声であまりに淡々と語るので怖くなる。顔を見ても微笑むだけで何を考えているのかわからない。
「本気なの?」
しかし僕が問えば、くすくすとちょっとした冗談を聞いた後のように笑う。
「いえ、ほんのお遊びですよ」
本当にこの子はなんでこうなのだろう。僕の乏しい想像力を駆り立てないでほしい。その唇に口付け、額をつけたまま語りかけた。
「僕を、惑わせないで……」
「おや、先生は本気でしたか。ごめんなさい。ふふ、本気でも構いませんよ?」
「やめて!」
苦しい。
いつも会話を反芻し考えながら言葉を選んで話すため、感情的な声を出し馴れていない。少しいつもより声帯を震わすだけで頭までぐらぐらする。
煽り癖だかなんだか知らないがそろそろ本気でやめてほしい。
君の考えてることがわからないくせして、君が君の全部を僕に差し出してくれると期待してしまう。
別に食べたいなんて思ってるわけじゃない。でも身体に君の細胞をほんの少し取り入れたいと思うくらいには、君を欲している。
出雲の手が僕の頬に添えられる。その笑顔にはどんな意味があるの。
「先生……そんなに大きな声を出されたのは二回目ですね。うれしい……」
その手はそのまま下がっていって、僕の肩を撫でて腕をスーッと下がっていくと僕の手を掴んだ。そしてTシャツの中へと誘い、立ち上がった男性器に触れされた。
「感情的になってる先生大好きです。興奮しちゃいました」
恐ろしい君が僕を求める姿が可愛くて、熱くてぬめぬめと濡れた性器を握り上下に扱き始める。胸もお尻もたくさん可愛がっているが、出雲は男性器をしてもらうのもまだまだ大好きで、たまにしてあげるとすぐにビクビクと背を震わせ始める。
「あっあっ……おちんちんきもちい、ん、ん、せんせいの手、おっきいぃ……」
「噛まれてる時から、濡れてたね。してほしかった?」
「はい、せんせぇに噛んでもらうの、ぁ……きもち、よくって、ほしくなって……またTシャツ、汚しちゃいましたっ……あっ、ぁ、ごめんなしゃ……」
キッチン台に後ろ手に手をついたと思えばカクカクと腰をみっともなく振り始める。そしてさっきまでの微笑みを絶やさない様子など幻だったかのように、半目で口を開けた理性も知性も捨てた顔でおねだりをするのだ。
「せんせぇ……せんせぇ……あぁー、しこしこ、すき……せんせい、せんせいもおちんちんだしてぇ……? おっきなお手手で、まとめてしこしこ、してくだしゃい……」
「まとめて?」
「はいっ……おちんちんすりすりって、なかよくしましょ?」
素股で擦り合ってるのと同じ感覚だろうかと疑問に思いながらも、スウェットを膝まで下ろして一歩前に出て近づいた。
こうして並べてみるとサイズがあまりにも違くて自分のモノがより凶悪に見える。出雲の男性器はそんなに大きくなくて皮を少し被っていてとても可愛いから尚更だ。
片手で自分と出雲を握り空いた手はキッチン台に置いて、軽く出雲の身体に伸し掛るようにして手を動かし始めた。
腰も使いながらも二人分の男性器を扱き始めると出雲はすぐに可愛く鳴き始めた。
「あ、あぁ……もっとぉ……もっと、せんせいのおちんちん、すりすりしたいぃ……」
「可愛いおねだり……だね?もっと強めに、擦ってあげようね」
手で強めに握り男性器の裏側を密着させてずりずりと擦り合う。
すると僕の裏筋を出雲の余った皮が引っかかるように擦り、一瞬腰が引けた。しかしすぐに体勢を立て直して強く擦り付け始める。
「ん……気持ちいい。出雲の、僕にすっごい媚びてくる……えっちだね」
「え、あっ、ちが……そんなこと、してにゃ……あぁっ」
「ほら、ここ……ずりずりって」
腰を小刻みに動かし亀頭の少し下辺りを擦れば、やっぱり裏筋から尿道までにすりすりと甘えて可愛い刺激をくれる。大したことないだろうと思っていたが意外な快感だった。
何よりどう見ても僕に屈服するほかない出雲の可愛い男性器を嬲り犯している気分になるのがいい。
「そんなに僕のが好き?」
「しゅきっ、しゅき……せんせ、のおちんちんしゅき……もっとなかよくする……」
「うん、そうだね」
可愛い刺激のお返しに、ぎゅっとお互いを逃げないように握りしめて自分の下反りの部分でゴリゴリと裏筋を擦ってやる。
「あっ、あっ、せんせぇ、せんせぇ……!」
気に入ったようで顎を反らして仰け反りながら感じている。こんなに全身で気持ちいいと言ってくれるのが愛しい。
本当に凄くぬるぬるしているな。僕と出雲の体液が混ざりあっていることのなんと嬉しいことか。性器もしっかりと気持ちよさを感じているが、出雲の様子でさらに気持ちが良くなる。
出雲は舌を下唇の上にのせてハァハァと荒い息で腰を揺らし喘ぎながら、自分で片方の乳首をTシャツの上から弄り始めた。
「おっぱい、はぁ、ぁ、おっぱいもきもちいぃ……せんせい、いっぱいするからぁ……まえより、きもちいぃ……」
「それは……おねだり?」
「え、ちがっ……」
「違うの?」
Tシャツに手を入れ指先でそっと、出雲には絶対物足りないだろう刺激を与えた。出雲は腰を動かすのも忘れ、目も口も閉じて胸の先に集中しようとしている。しかし思ったような快楽はえられなかったようで、また腰を揺らして熱い吐息と共にちゃんとおねだりをした。
「ごめんなさいっ、ちがく、ないっ……せんせぇ、おっぱい、してほしいです……せんせぇ」
「うん、いい子だね」
可愛い。いつもこれくらいわかりやすくいてくれたらいいのに。そうしたら頭空っぽにしてひたすら可愛がってあげられるのに。
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