先生は最初、ちゅうっと舌先を吸い中へ招き入れたかと思えば、その柔らかな粘膜に歯を立てた。 「んぐっ……！」 　痛みと驚きですぐに舌を引っ込めようとしたが、上下の歯で捕えられており逃げ出すことができない。ギリギリと歯ぎしりするように噛みつかれ、痛みに全身が強ばった。 　鋭い痛みに噛み切られてしまうのではと恐怖し、拘束された両手で腹部をドンッと押すが先生がよろめくことはない。しかしその後すぐに唇はすっと離れていき、荒い息で口の端から上唇にかけて舌なめずりする先生に見下ろされドキリとした。先生の目が意地悪する時の、暗い光が宿るそれに変わっている。 「君は本当に、はしたないね？ 休みの日に、じっくり奥で遊ぼうと思ったのに……もう開発済み……みたいだね？」 　笑いながら先生は俺の右足を掴んで自分の肩にかけ、そのせいで下半身が宙に浮いてしまった。縛られていてバランスも取りづらくその不安定さに恐怖を覚える……が、玩具でさっき痛みを感じた奥の突き当たりまで押され、そんなこと気にする余裕もなくビクンッと下半身が揺れる。 「イッ……アッ、ア……痛い、先生そこもうだめなとこ、です、痛いですっ……！」 「ここは……さすがに入らないか。こっちは、気持ちいい？」 「ここって、ひ、ああぁっ！」 　ぐぽっと綺麗に収まった先ほどの場所まで抜かれ、引っかかる場所をきゅぽきゅぽと小刻みに揺さぶられる。もうそれをされるとお尻全部がビリビリして、お腹も変な感じになって……とにかく気持ちいいけれど、ヤバい感じの気持ちよさ、というか理性の部分がこんなことしちゃダメだと訴えてくるような気持ちの良さだった。 「あぁぁー、あぁ、あっ、ぶるぶるしちゃ、だめ、あっ、あっ、やばい、やばいです、やばいぃぃぃっ」 「ヤバいって、君からあんまり聞かない言葉だね？ そんなに凄いんだ？ ほら、中にももう一つお尻の穴みたいな……壁みたいなの、あるね？ ここは、気持ちいいね？」 「あ、あ、ひっ、ひぁぁあっ、しぇんしぇえ、やだぁ、だめだめだめっ」 　だめ、この責め方は絶対だめなやつだ。感じすぎて腰がガクガクする。先生が太ももをガッチリ掴んで支えていなければとっくに落ちている。 　ハヤトのが挿入されていた時はその壁をつつくというか、少し刺激するくらいだったのが、玩具だとずっぷりと壁を抜けて入り込んでしまうので揺さぶられる感覚がヤバい。 　身体の中、内蔵がガバッと大きく開かれて空洞になっている様な錯覚と、そこを揺すられる感覚に溺れる。 「アッ、こわいこわいやだ、アッ、アッ、やだやだよぉぉ、たすけて、せんせぇ、せんせぇっ」 　快感と恐怖に襲われ涙がぼろぼろ出てくる。自分でちょっと揺らしてたのなんかと全然違う、休みのない無慈悲な快感に腰がカクカクと上下に激しく揺れる。逃げたいのかもっと欲しいのか自分でもよく分からない。 　先生はそんな悲惨な状態の俺にも優しい声をかけてくれた。耳の中まで撫でられているかのような声だ。 「大丈夫……いつもみたいに……気持ちいいのに、身を任せて？ 出雲は気持ちよくなるの、上手だよね？」 「でも、でもっ、なんか出ちゃう、せんせぇ、出ちゃうぅぅ、こわい、はっ、はぁっ」 「出していいんだよ？ 今度は何をおもらしするのかな？」 　壁をぐぽぐぽとほじくり回すのはやめずに、少し手前に傾けてわざと膀胱を刺激してくる。膀胱を押されるのも最高に気持ちが良くて、もう訳もわからずだらしなく喘いだ。 「あああぁ、きもちいいぃ、おもらししちゃう、出ちゃう、しぇんしぇ、おもらししちゃう、あっあっあっ、出ちゃうぅぅぅっ！」 「ははっ……いいよ？ ここ、もっと擦ろうか。可愛いね、おもらししちゃいな？」 　最後にすりすりと膀胱を中からとお腹の上から撫でられ、ふわっと飛ぶような感覚とともにピューッと中から何か噴射された。出てる間も尿道が刺激されて気持ちがよくて思考がどんどんとろとろに溶かされていく。 「あー……っ……出てる……おもらし、きもちひぃぃ……おもらしきもちいい、ですぅぅ……」 「ああ、たくさん出たね……今日は潮だね。精液じゃなかったね。ほら……僕にこんなに、かけて。服、濡れちゃった」 「あ、ご、ごめんなさっ……おもらしして、先生にかけて、ごめんなさい……」 「いいんだよ？」 　肩にかけていた足を下ろし、先生の身体がするりと滑り込んでくる。動けないのに膝だけが情けなくカクカクと笑っている俺を、上からすっぽりと包み込むように抱きしめてくれた。 「君をダメな子にするには……やっぱり、気持ちよくしてあげるのが一番、だね。僕の入れたら、もっとダメになる？」 「ひぁっ……」 　全身がものすごく敏感になっていて、耳を舐められるだけでいつもより全然気持ちが良くて玩具が入ったままの中が切なくなってしまう。耳たぶの上を執拗に舌先で舐める……きっと先生が大好きな耳のほくろ。髪も撫でられるとぞくぞくと震えてしまい、あ、あ、あ、と開いた口が塞がらず、はしたない声が漏れ出てしまう。 　先生の唇が耳やこめかみ、頬や顎の先まで至る所を愛でる。そうしながら濡れてしまった衣服を脱いでいってるのに気がついた。 「先生、あの……」 「うん？」 　廊下から入ってくる光りだけを背に浴びて、先生が微笑む。電球のオレンジ色の明かりが先生の白い肌に陰影をつける。痩せてはいるけれど、骨が太く意外とがっしりとした身体。先生は全て脱ぎ終えると、拘束している手首の縄をすんなりと解いた。 「結び目の固さが、変わってない。暴れたり引っ張って外そうとしてない、証拠だね。いい子だね」 　縄をポイッと床に放り、汗で湿ったＴシャツにも手をかける。これだけ脱いだら自分はもう裸になってしまう。先生も裸になっていて、ベッドの上で、こんな。 　まだ頭はぽーっとしているのに心臓が痛いほど高鳴ってくる。 「入れたいな……入れていい？」 「あっ……え、先生、本当に……ですか？」 「うん。でもね、痛いかも……このくらい、入るかな」 「んっ……」 　挿入されたままの玩具をさっきより優しく奥に押し進める。それが壁に突き当たり、先生はくいっと左側を押す。 「この奥の……曲がり角の先。僕の曲がってるから、上手く入ったら……凄く、気持ちいいかもしれない。でも最初はたぶん、痛い」 「そんなとこ……入っちゃうんですか？ 先生のおちんちん……」 　さっき押して痛かったところのまだ先。確かに横から入れたり角度を工夫すれば先生のおちんちんの形なら少し入るかも、しれない。 　ちょっと怖いけれどドキドキして下腹部を撫でる。すると玩具が入っている場所が皮膚の上からでもゴリっと固くなっており、どこにあるかわかってしまった。ちょっとびっくりしてそこを摩る俺を見て先生がふっと笑う。 「僕もそんなこと、したことないけどね。でも、それくらいしないと……根元まで、入んないんだよね」 　俺が摩っている場所の少し上を先生が撫でる。中を揺らすように撫でられると、さっきの快感がビリリと蘇り、きゅっと目を閉じた。 「お腹の上から揺らされただけで……気持ちいいの？ 本当に、えっちな子だね。こんなに簡単に気持ちよくなっちゃう子……絶対に外になんか、出せないよ？」 　耳を舌で愛撫しながら、奥まで入っていた玩具がゆっくりと抜かれていく。ちゅぽん、と完全に抜けきった後、先生が昨夜散々いじめた会陰部を撫でて外側から前立腺を刺激する。 「あっ……あっ……」 「ほら、ここも。僕以外の人だったら変態って嫌われちゃうよ？ こんなえっちな身体の子、そうそういないよ？」 　本当にその通りだ。お腹撫でられて、お尻の上あたりを撫でられて、気持ちよくて声まで漏らしてしまうなんて。 　でも、だから先生の傍にいたいわけじゃない。先生はすぐに不安がってこんな意地悪を言ってくるけど、誰が俺を受け入れるとか受け入れないとか関係ない。 「先生……いいんです。先生がそばにいてくれるんですから。誰に嫌われても、なんでもいいんです」 　やっぱり先生を抱き締めてあげたくて、凝り固まった肩をパキパキと鳴らしながら腕をあげ、先生の首に腕を絡めてギュッと抱き締めた。 「先生が大好きです。愛してしまったかもしれません」 「愛……してる？」 「はい……なんだか先生が愛しくてたまらないものですから……」 　先生は言葉をゆっくり飲み込むようにじっと俺を見つめてから、抱き締め返してくれた。そして耳元で小さく、また泣いてしまいそう、と囁いた。そしてそのまま、震えた何かから隠れるように潜めた声で話した。 「卒業まで……待てない。入れてしまって、いい？ 待っていたら、後悔してしまうかも」 「え……どういう意味ですか？」 　聞くと先生は顔を上げ、切なそうに眉根を寄せながら微笑む。 　そしてそっと触れるだけの優しいキスをして、もう一度キスをした時に下唇を啄むように柔らかく挟んだ。たくさん、たくさんの優しいキスの後に舌がそぉっと滑り込んでくる。いつもみたいに捕食するような口付けじゃなくて、舌先を撫でたり上顎をくすぐったりする甘いキスに腰がとろけそうだった。 「気持ちいいね？」 　唇が離れ、額を撫でながら囁かれる。甘い疼きに侵されながら小さく頷くしかできない。 「中は……十分、ほぐれてるね。ローションだけ……入れるよ？ ひんやりするだろうけど……いい子で、我慢するんだよ」 　足を開かされ、さっき必死で開けたローションの蓋を先生がいとも簡単に開けて、ボトルの口をそのままお尻の穴にあてがった。お尻の下に手を入れて持ち上げられ、浣腸する時のように直接ローションを奥まで流し込まれていく。 「ひゃ……うぅ、つめたい、です……んぅ……」 「ごめんね。傷ついたら……暫く君を、可愛がれなくなっちゃうから。そんなの、我慢できない」 　ぶちゅーと中に十分注ぎ込まれたあとボトルが外され、零れぬように蓋をするように、中の具合を確かめるように、始めから指を三本も中へ挿入されていく。三本の指が中で広げられるとくちゅくちゅと音が漏れて恥ずかしかった。お尻の中がとろとろの液体で満たされている。 「うん。よく拡がるね。でも……ああ、とうとうこの中に入るのか」 「やっ、先生……そんな改めて言わないで下さい……！」 「でも……今お尻がヒクヒクしたよ？ 可愛いね」 「ダメですってば……」 　顔を逸らすが、ずりずりと中を擦る指に反応してまた天を仰いでしまう。薄目を開けると先生と目が合う……その目がとても俺が好きだと語っている。 　指が抜かれると、とうとう先生のおちんちんの先っぽがお尻の穴にぴったりとくっつけられた。それだけで心臓がバクバクと大きな音を立てる。先生が肘をついて身体を密着させてきたと思ったらふふっと笑い声が耳をくすぐり、絶対にこの心臓の音を聞いて笑ってるんだと恥ずかしくなった。 「先生、笑わないで下さい！」 「だって……ふふ。きみ、心臓の音が激しくて……入れる前に、心臓麻痺……起こさないでね？」 「先生だって、既に肌がしっとり汗ばんでます」 「うん……緊張、してる。ごめんね？ 密着すると、気持ち悪い？」 「いえ……なんだか興奮してしまいます。俺もきっと、たくさん汗かいちゃいますし」 　そうだね、と頷きながらも先生の先っぽが入口を上へ下へと撫でていく。とうとう、入れられてしまう。 　なんで急に今このタイミングなのだろうと疑問には思ったが、ずっと先生とちゃんとセックスすることを待ち望んでいたため深く考えなかった。不安だから安心したいのかもしれないと、疑問は自己完結させた。