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恋人になれたらよかった② ※先生視点
「君……そんな空っぽの声で僕のこと好きって言って……なんにも説得力、ないよ?」
「あぁっ!!」
意識を少し戻してやろうと痩せているくせにまぁるい形をした柔らかい尻肉を平手打ちすれば、顎が反り返るほどビクッと反応して見せる。少しは目に力が入ったかと頬を掴んで無理にこちらへ振り向かせれば、半目ではあるもののきちんと目が合った。
「ここからは出ていくけど、僕のことは好きなの?」
「好、き……」
「離れたいのに?」
前立腺からもう少し奥まで進んで膀胱のあたりまで強く、引っ掛けるように擦ると肩から腰にかけて電気が走っていくようにビクビクと震えていくのがわかる。もうココは必要ないというように固くすることを放棄するようになった男性器に手を伸ばし、だらだらと涎を垂らす鈴口だけ親指と人差し指で繰り返しつまむように刺激した。
腰を浮かせながら自身を気持ちよさそうに扱く出雲の姿は好きだったけれど、このまま立ち上がらなくていいと思っている。男性としてはここが立ち上がらないとなると、女性と性行為ができないのはもちろん挿入しないにしろ羞恥心を覚え、そこに至るのに抵抗ができるものだろう。
だから可愛らしく濡れててらてらと光る鈴口だけ、まるで乳首を愛撫する時のように優しく撫で回してやる。すると体の芯がぶるりと震えてくるのが伝わってくる。潮を吹くのを身体が完全に覚えてクセになってしまっているのだ。僕がこの子が潮を吹いてるところが可愛くて大好きなので、ついつい弄り倒してしまうのが一番の原因なのだが。
「あっ……あっ……でちゃ、ぅ……や、また出ちゃぅぅ……」
「また? きみ、また漏らすの? 駄目だよ。我慢するんだよ?」
「しぇんしぇ、やだぁ……むじゅむじゅ、しゅる……がまん、できなっ……あー、だめ、きもちいぃ……」
「ほら、我慢我慢。漏らしたくないね? 恥ずかしいね? 頑張って」
我慢できるよう焦らすように腰の動きを遅くしてゆっくりと、しかし確実にそこをとらえて抉るように撫で上げる。こりこりとした前立腺の先で膀胱が張っているのがわかる。
やだと言っていたくせに、焦らすとすぐに自ら腰を擦り寄せてくる。それじゃあ足りないとヘコヘコと男性器に自分の気持ちいいところを擦り付けてくる。しかもこちらを煽るようにきゅうきゅうと中を締めてくるのだ。
「ん……そんなに締めると、もっと動かしたくなるよ? いいの? 漏らしちゃうよ?」
「あ、だめ……だめ、です、うごかしちゃ、だめ……」
「腰揺らしながら言っても……説得力ないね。本当はまた僕に、恥ずかしいところ見られたいんじゃないの? オナニー見てくださいって、毎日のように、保健室に来てたくらい……出雲は変態だもんね? ああ、そうだ……」
脱力しきって重たい出雲の身体をなんとか後ろから起こして抱き上げ、膝裏を抱えて大きく足を開かせた。
「覚えてる? 初めて潮吹き見せてくれた時、この格好だったね」
その時は挿入こそしていなかったし、出雲の男性器はしっかりと起立していたが。
「あ……やっ……」
ふるふると横に首を降る出雲の耳の縁に舌を伸ばす。可愛いほくろ。君がもし出ていくのならこの耳を切り落として貰いたい。こんなことを言い出したら君の体の好きな箇所がありすぎてバラバラに切り刻むことになってしまうけれど。でも君の体についてないと意味ないか。
出雲の身体を揺すりながら、下から何度も何度も擦り付ける。不安定な姿勢に身体が怯えて入口がぎゅうぎゅうと締まるのがあまりに気持ちよくて、焦らす余裕もなく腰が止まらなくなる。
刺激してあげてるはずの前立腺が中が締まることで、逆に僕の裏筋をコリコリと刺激してきて何度も何度もそこを往復した。
「あっ、あっ、出ちゃう、や、あっ、よごしちゃ……ぅ、はずかしい、はずかしいのやぁぁぁっ……おもらし、しゃせない、でぇ……」
「んー、無理……気持ちいい。気持ちよくて、止まんない……でも出雲は嫌なら、我慢しなね? 僕は出したい時に、出すけど」
「がまんっ、できにゃいぃ、やだぁ、あ、あ、がまん、ぅっ、んんんっ、あぁぁっ」
「あ、いいね、締まる……気持ちいいから、もっと我慢して? 僕がイクまで出さなかったら、ご褒美に休憩時間にしようか?」
あ、と短く声を上げ、こくこくと頷く姿がいじらしい。
朝から何時間もずっと僕の手で、または玩具で前立腺を弄られて意識を手放して取り戻しての繰り返し。ずっと表情に力はなく、目も口も半開き、喘ぎ声も舌っ足らずでとろけきっている。
それでも休憩がもらえるという甘い誘いを叶えるため、抱えている足にぐっと力を入れるのが腕に伝わる。太ももからふくらはぎ、足先までぎゅっと筋肉が締まり、それと一緒に入口が窄まる。僕の言葉を信じて力を振り絞る姿も、性器への刺激もたまらなかった。
しかしこんな風にされると奥まで入れるのを我慢するのがキツい。根元までずっぽり咥えこませたい。
「我慢すると、締め付け凄いね? そんなに……漏らしたくないの?」
耳たぶを舐めながら囁けば、ぴくぴくと太ももが揺れる。
「ひゃっ……しぇんしぇぇぇ……みみ、だめ……えっちな声しちゃ、らめっ……」
「うん? エッチな声だしてるのは君だよ?」
「せんせいの、声、えっちですっ……頭おかしくなゆっ……」
「そんな風に思ってたの? へぇ?」
随分可愛いことを言ってくれる。我慢しなきゃいけないのにどうして滾らせるかな。
「じゃあ……僕に、悪い子だね、て……やらしい子だねって言われて、いつも頭おかしくなりそうだったの?」
試しに耳元でそんな風に囁いてみれば、言葉にならないほど身体を震わせ息を深く吸いながら身を固くする。思い通りの可愛い反応をするから面白くて笑ってしまえば、笑い声にすらビクついて。
「可愛いね。お漏らししなって言ったら、我慢できなそうだね? 我慢してって言われたから頑張ってるの? いい子だね」
「ちがっ……あ、言っちゃ、言っちゃらめ……だめです、だめぇ……出ちゃうぅっ……」
「なんで? 僕は休憩したくないな。君がたっぷりお漏らししたら、奥までハメたいから、ね? 出しな?尿道擦れて気持ちいいよ? 君が気持ちよさそうに出すとこ大好きだから、見せて」
背をゾクゾクと震わせながらあ、あ、と堪らず声を漏らす姿が可愛くて、プレイとしてではなく自分がただ我慢できずに激しく出し入れを繰り返しながら、一回だけ奥まで差し込んで中にある入口に入るか入らないかの加減でぐりっと亀頭を押し付ける。
「あー……ここ、ここに入れたい。ほら、早く出しなよ。負けちゃいなよ。奥までハメてっておねだりしながら、たくさんお漏らししなよ」
「あぁぁ……おく、おくぅぅ……おくほしいぃ……」
「ははっ……ほんっと、弱いなきみ」
奥まで入れていたのをまたズルっと抜き、手前の前立腺と膀胱への刺激を再開する。フックのように反った部分でしつこく何度も休みなく擦ると、僕に抱き上げられた身体は大きく何度も跳ね、その度に入口が締まって出し入れをしている動きと合わせて搾り取られそうだった。
「あっ、あっ、出ちゃ、出ちゃうぅっ……! せんせぇぇっ……奥まで、奥までおちんちん、ハメてくだしゃぃっ……おもらし、しゅるから……おちんちんもっと、ハメてぇっ……! あ、あ、あああっ」
「あ、出てる出てる……はぁ、きもちいい。気持ちいいね? ちゃんと言うこと聞けていい子だね」
ぎゅんっと締め上げたあと、萎えた性器から本当に尿でも漏らしたように、でも透明な液体が尿道から溢れ出した。シーツに染みを広げていきながら、中が弛緩していく。気持ちよさそうな力の抜けた声が僕を煽る。
さすがに体勢がきついので、潮吹きが止まったのを見届けてから性器を抜き、今度は仰向けに出雲の身体を寝かせた。寝かせた途端にちょろっとまた出たのが可愛くて、つい屈んで先端にキスをしてしまった。
そういえばフェラしてほしいって言っていたなと思い出し、そのまま先の方だけ少し舐めてあげると深いため息を吐くように喘ぎ始めた。
「あ、あ……え? せんせ、なめて……あぁ……なめてるっ……あ、せんせぇぇ……」
「嬉しそうだね。でも我慢できないから、今は入れようね」
股に埋めていた顔を上げ、投げ出された足を開いてお尻を上げさせる。ぽっかり開いて中まで見せつけながら、ヒクヒクと動いて早く中に飲み込みたいと誘ってくる。
こんなに開いてしまって、本当に一般的なサイズの男性とは満足なセックスはできないのではないかと思った。一生僕だけが使う穴。
あの小学生の君と、何か話した記憶があるがなんだっただろう。君との会話は全て覚えているのに、当たり前だがあの時のことだけは思い出せない。こんなにいやらしい君を見ながら小さな君を思い出す僕は最低だな。これが興奮なのか、罪悪感なのかで変わるのだろうが、そのどちらもが複雑に絡み合っている。
エプロンをしていた。あんな頃から料理をしていたのか。ここでも注文して届いてからはTシャツの上からきちんとエプロンをつけていた。ベージュ色の帆布素材でできた、ポケットが二つあるシンプルなもの。
Tシャツの丈よりエプロンの丈の方が長く、エプロンから伸びる太ももにフェティシズムだなぁ、などと思っていたが、届いた時の君はそんな僕をよそにとても嬉しそうだった。
いつも僕のTシャツを着ているため“先生のおうちに俺の物ができました”と大切そうに胸に抱えるのを見て、もっと色々この子の物を増やそうと思ったのに結局あれから何も買ってあげていない。この子は何かねだったりしないから、気の利かない僕はどうしたらいいかわからないのだ。
「せんせい……?」
挿入する手前でフリーズしてしまった僕を、まだ息を切らしているくせに心配そうに見上げる。
「エプロン買った時……奥さんみたいですかって聞きながら、名前で呼んでくれたね」
「え……」
「もう一回、呼んでくれる?」
出雲は突然の事で何を言われているのかよくわかっていないようだった。なまえ、と小さな声で呟いて、何度か瞬きをして、太ももに添えられた僕の手に自分の手を重ねる。
「みなわ……さん」
「うん」
「水泡さん」
「はは……駄目だ。君に名前で、呼ばれると。照れてしまって……」
名前を呼ばれただけで馬鹿みたいに胸が高鳴る。
引き止めるためにもっと酷いことをしてやりたいと思うけど、君を傷つけたい欲は確実にあるのだけれど、どうしてもブレーキがかかる。
深いため息をついてベットから離れ、コンビニ袋から出て床に転がる缶ビールを手に取る。酒にでも頼らないと君を大事にしたい理性が働いて何もできやしない。
君を大事にしたい理性?
そんなお綺麗なものではない。君に嫌われたくないだけだ。
のどごしも何もない、喉の渇きも癒えない、ぬるくて苦い飲みづらい液体と化したそれをお構いなしに一気に煽る。こんなもんで酔えるわけがない。今朝はさすがに酔っていたが一晩中浴びるように飲んでやっとだ。今はただ、アルコールを入れましたという気分と事実があればいい。君に甘える口実、君を傷つける口実。
出雲と出会ってから自分の汚い部分ばかりに気付かされて嫌になる。
「先生、でいい。先生って呼んで? 出雲」
「せんせい……」
今にも眠ってしまいそうな柔らかな声で呼ばれ、頭を撫でると心地よさそうに目を瞑ってしまった。先生でいられる期間ももう短いがそう呼ばれる方が落ち着く。
空き缶はサイドボードへ置いて、もう一缶開けて口をつけ、そいつもサイドボードへ。
もう一度太ももを抱えて足を大きく開かせ、中に指を入れて具合を確かめる。新しく開封したバックプレイ用のローションが優秀でまだ乾いてはなさそうだった。
「出雲。出雲、寝ないよ? おねだりは?」
太ももを平手打ちするバシンッと乾いた音が部屋に響く。続けて下腹部を親指でグッと押さえつけた。
「うっ……あ、せんせっ……いたい……」
「今日は根元までしっかり入れるよ? おねだりは?」
僕の言葉に出雲はぼんやりした顔のまま僅かに眉根を寄せた。
「えっあ……え? おととい、は……? ぜんぶ、入ってなかったんですか」
「入ってないよ? 僕専用の穴……奥まで開通しないと、ね」
気持ちいいことが大好きな出雲でもさすがにゾッときたらしく、桃色をしていた頬から色が消え青ざめる。
「え、だって……入らない、です……奥に突き当たって……」
「うん、頑張ろうか」
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