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■実感

体育教官室の前で、肩掛け鞄の紐を握る手が湿ってくる。 バラされたくなきゃ、ほかの誰かを犠牲にしたくなきゃ毎日相手をしろ、そんな条件を飲んでしまった昨日の自分が馬鹿すぎて憎い。言われた通り、部活終わりにのこのこと体育教官室に来ている今の自分も憎い。 いや、もちろん犯されに来たわけじゃない。 ろくでもない交換条件を破棄するために来たのだ。 深呼吸して、ノックをする。 「失礼します、秋山です」 一呼吸置いて、中から声が返ってきた。 「おう、入れ」 ……ここからはスピード勝負だ。 勢いよくドアを開けて中に入り息継ぎなしに言いたいことだけ言って帰る! 「すみません昨日のことなんですけどやっぱりあんな条件は飲めませんし無かったことにしてくださいじゃあ失礼し───ッわ!」 先生が何か投げて来たのがちょうど顔の真横を掠め、ドアにぶつかって音を立てて落ちた。 なに!?? 思わずよろけるといつの間にか大股で近付いてきていた先生に顔を掴み上げられた。 と、逃げる間も無く先生の舌が口内に押し入ってきて、蹂躙される。昨日と同じ、でも昨日より長くてねちっこくて、あとは、コーヒーの匂いがする、くらくらする、酸素が頭にまわらなくなる感覚…… 意識がふわふわするなかで、ズボン越しに股間を揉まれて肩がビクッとはねる。どうしよう、このままじゃまた好き勝手されてしまう。

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