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■実感
貪るような先生のキスからようやく解放されて、背中のドアにへなへなとのけ反って凭れてしまう。ぜえぜえと肩で息をして、情けない顔をしている自覚がある。
「逃げられると思うなよ」
俺の顎を伝うよだれを雑に拭う親指が骨太で大きくて、とても抵抗なんてできないことを実感させられる。
「来い」
腕を引っ張られて、そのまま隣の体育倉庫に押し込まれる。埃っぽいマットの上に蹴倒されてのし掛かられ、昨日のことがフラッシュバックする。
「せ…せめてゴム…!」
「あ?」
咄嗟に出た言葉に、自分でもそういう問題じゃないんだけどと思ったけど。黙って抱かれるのが受け入れ難くて無駄な時間稼ぎを試みる。
「昨日直接出されて気持ち悪かったから…!大人でしょうゴムくらいできないんですか」
「めんどくせえな、おめえ男だろうがよ」
「そういう問題じゃない」
「はあ…あー、あったよ。じゃあおまえが着けろよ。口で。フェラするみたいに」
「は?」
財布から出てきたしわくちゃの包みをぴらぴら見せて、先生がにやつく。いたずらを思い付いた子どもさながらに。
……え、なんか楽しまれてる気がする。
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