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■勘違い

「あ………は、最悪…」 ぱたぱたと制服のシャツに精液が落ちる。 人に手でイかされて、それ見られるなんて、消えたいかも。 「早いなあ、ちゃんとオナってねえのか?」 ちゃんとオナるってなに…… 手に掛かった精液を先生は適当に振り払って、再び俺の腰を持ち上げた。 「でもまだこっちは全然イけてねんだよな」 「へ…………」 にやりと笑って、抜ける寸前まで先生が後退する。と、一気に奥まで貫かれた。 「………ッ!!!!…!?」 急な刺激に目がチカチカする。 そのまま力任せに腰を動かされて、ずんずん奥に打ちつけられる。 なんか、これ、なに!? だんだん一定のリズムになって打ち寄せる圧が、苦しいけど、それと同時に体の内側がざわざわする。 感じたことない感覚に、怖くなって、せがむみたいに先生の服を思わず掴む。 せがむ? 違う、それじゃその先が欲しいみたいだ。 おかしくなりそうで怖いからやめてほしいだけ、 背が反るのは逃げたいだけ、 「あーーーー、でそう」 先生が奥で止まり、体を痙攣させた。 俺の肩に顔を埋めて、荒い息を整えている。 あ、イッたんだ… 先生が落ち着いてるうちに、服を掴んだ手を離して、体の奥でまた押し寄せていた波に気付かないふりして、鎮まってくれるのを待つ。 「先生、終わったなら退いてください、重い」 「冷てえ野郎だなおまえは…」 いつまでも覆い被さっている先生の肩をばしばし叩きながら、もう何時かな、と辺りを見回す。この倉庫って時計とかあったっけ── 顔を巡らせて、ふと、気付いた。 それは普段この倉庫に入るとき見たことないもの。今日入ってすぐは、それどころじゃなくて気付かなかったけど──── 「先生、あれなんですか」 「あ?」 さっきまでの熱がサーッと引いていく俺とは反対に、先生はまだ気怠そうに顔を上げた。 「なにって、カメラだろ」 「なんでカメラがあるんですか」 「これ撮るためだろ」 「……いまの?全部?」 「おまえが来る前から回してるよ」 ────これを、撮るための、カメラ、 「…なんでですか?」 「別に?おまえを逃さねえための材料はいくつあってもいいだろ」 さっきとは別の理由で真っ白になる頭と、同時にひとつ疑問が浮かんだ。 「誰でも良かったんじゃなかったんですか?」 「あ?」 「俺が昨日、たまたま部室に1人残ってたからああいうことされたんだと思ってたんですけど、違うんですか?……え、俺、先生が誰でもいいからこういうことしてるならほかの誰かが同じ目に遭うくらいなら俺がってそういう条件で」 こういうことができるなら誰でも良かったはずの先生が、新たにカメラまで用意して俺を縛ろうとする理由がわからない。混乱する俺に覆い被さったまま、先生は黙って俺を見下ろしている。 「……元々、俺だから襲ったってことですか?」 「だったらなんだよ」 「どうして、俺なんですか……」 しばらく黙って見合った。 やがて先生は、首を少し傾げて、馬鹿にしたように鼻で笑ってから俺の上から退いた。 「どうでもいいこと言ってねえで早く帰るようにしろよ、閉めるぞ」 録画ボタンを止めて、カメラを回収して、先生は倉庫を出て行った。

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