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第4話 帝王の盤上

ヘリポートにヘリが到着し、黒と共に乗り込んだ。離陸したヘリから外を見ると船は酷い有様だった。あらゆる場所から黒煙が立ち込めている。今でも船では断末魔や弾丸が飛び交っている。 このまま逃げて本当に良いのだろうか。そんな事を考えながら離れていく船を見つめる。 「本当にこれでいいのか」 「何のことだ」 「仲間も巻き添えになるんだぞ」 「しぶとい奴は生き延びる」 黒は特に気にした様子もなくスーツに着いた返り血を蛆虫でもみるように眉間にシワを寄せて見つめていた。余裕な顔のこの男を今すぐ海に突き落としてやりたい。 「見捨てるんだな。あんたを慕ってた仲間を…」 「そう思うならここから降りるか」 黒が徐ろに俺の体に巻いているシートベルトを外した。そのまま開かれた扉の外に投げ落とされそうになる。 このまま掘り投げられたら俺は確実に死に至るだろう。仲間と言ってもたった数週間アジトで過ごしただけの奴らばかりだ。そんな奴らのために俺は命をかけるべきか考えていた。 「やめてくれ‥冗談じゃ済まされない」 「冗談のつもりはない。死にたくなければ黙って乗っていろ」 「分かった。俺が悪かったよ」 黒は鼻を鳴らして扉を閉じた。俺は命綱のシートベルトをしっかりと締めなおした。今の黒はどう見ても不機嫌だ。この男を怒らせてもロクなことにはならないだろう。 謝罪をした後、会話をしないまま遠くなっていく船を見つめた。

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