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第6話 忠誠の証
体の力が抜け呆けたまま息を整える。黒の顔に手を伸ばし引き寄せた。唇が触れる寸前の距離で目が合う。
「何をしている‥」
「あんたの目が見たい」
片目を塞いでいる眼帯を撫でる。意表を突かれたように黒は目を見張った。俺が言ったことはおかしかっただろうか。ずっと気になっていたことを口にしただけなのだが、黒は予想していなかったように驚いている。
「なぜそんなことが気になる」
「隠されているから見たいと思った」
「隠しているつもりはないが、見たいなら好きにしろ」
黒の許可が出て俺は快楽で震える手を眼帯に伸ばした。外した眼帯の下には大きく縦に傷跡が残った瞼があった。傷を指の腹でなぞるとピクリと瞼が動いた。
「瞼の下、どうなってるんだ」
「そんなものを見たがるのはお前くらいだな」
組織のみんなも気にはなっているだろうが首領にそんなことを聞けるはずがない。誰にでも秘密や隠しておきたいことの一つくらいはあるだろう。俺は左目のことを聞いてはいけないとは思わなかった。黒の秘密を共有したいと変な気分になっている。
黒の左瞼を撫でても拒否はされていない。本当に触れられたくない事なら拒むはずだ。
「黒、左目を開けてみてくれ」
「お前に指図されるのは気に食わない‥」
俺の言い方のせいで拒否されてしまった。自分の好奇心が空回りした結果だ。知りたければそれ相応の態度で頼まなければ、黒は要求には答えてくれないだろう。
ベッドに寝転がっている黒の上に重たい体を起こし馬乗りになった。俺は黒の体にそっと触れ、胸にキスを落とす。機嫌を直してもらう方法を知らないが、俺の出来ることをするしかない。
すべてを差し出せと言われ体を差し出したが、心を明け渡していないことは黒におそらくバレている。だからこそこちらの要求にこたえてくれない。俺はまだ信用されていない。
黒の体にキスを落とし下へと這う。目的の股の隙間に顔を埋める。俺の中に吐き出したはずの塊はまだ硬度を保ったまま、屹立している。黒は俺が思っているより貪欲だ。
目の前にある屹立に舌を這わせる。怒張し血管の浮き出たそれを慣れない舌遣いで舐める。
「‥何のつもりだ」
「首領への忠誠‥」
黒に見つめられたまま舌を動かし快感を煽る。俺の口淫は決して上手くはないだろう。満足させられる自信はないが精一杯刺激する。黒の息遣いはあまり変わらないが、手で襟足を撫でられた。猫の喉元を撫でているような優しい手つきに体が跳ねる。
「へたくそだな」
「自覚している…慣れてないんだ」
黒の言葉通り俺には圧倒的に経験値が低い。女性とそれ相応にすることはしているが、男性器を舐める機会など今まで微塵もなかった。他の情夫は経験豊富で満足させられる者も居るだろう。黒の情夫の中で俺は底辺に近い下手くそさだと自覚はある。
目の前にある塊を口に含み咥えこんでいく。抗争前夜に奉仕して以来の感覚に喉奥を突いてしまい、嘔気に襲われる。
「んぐ‥ぅ‥んん…」
「歯を立てるなよ」
頭を押さえつけられ根本まで咥えこまされた。苦しさを感じながらも、歯を立てない様に塊を包み込み舌を動かす。後頭部を抑えていた手が離れ、髪をサラサラと撫でられる。心地よさを感じながら塊に刺激を加えていく。びくっと動いたのをかんじた。
「そのまま飲み込め‥」
「ん…っ‥ふ‥」
激しく頭を動かし黒を追い上げていく。口内に苦味を感じたまま奉仕を続ける。卑猥な水音と息遣いが耳に張り付き煽られる。自分の塊もまた高ぶり起ちあがり始めるのが分かった。奉仕だけで俺の体は容易に反応することが分かり一気に恥ずかしくなった。
先程までの情事は完全に理性を手放していた為、羞恥など感じていなかったが、冷静さを取り戻した今は全く別物だ。
「黒‥ン‥っん…」
羞恥を感じたまま先端に吸い付く。幾度か繰り返し吸い付いていると髪を引っ張られ、黒の下腹部が動き限界が近いと悟った。再び奥まで咥えこみ吸い上げると塊が震え弾けた。
「っん…んん、黒…」
「ッ‥」
口内に流れ込む臭いと苦味を飲み込んだ。長い吐精をすべて受け止めることが出来ず、口の端から零れ落ちた。鼻腔の中にも黒の臭いを感じながら自然と涙が溢れた。
黒の表情はあまり変わらなかったが、達した瞬間を見ることができた。
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