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-番外編- 帝王の過去
昨晩、結局一睡もできないまま部屋に戻ってからも何故こうなったのか考え続けていた。そして何かの間違いであってほしいと願っていた。事実確認のためにも気は進まないが会わなければならない。
重い心と体を無理やり起こして、部屋を出た。外に出れば朝日の光が差し込み眩しいくらい廊下を照らしている。
今日は仕事が休みだが現実を遠ざけるように父の部屋へ向かった。仕事の事を考えていたかったから。逃げても解決しないことはわかっていたが現実逃避せずにいられなかった。
父の部屋に入ると今一番会いたくない欣怡の姿があった。
「欣怡、何故ここに?」
「え、あのこれは…」
しどろもどろに話す欣怡に疑いの目を向けた。父といつの間に親しくなったんだ。直接会ったのは父に欣怡を紹介した時だけのはず。2人きりで何をしていたんだろうか。
目の前にいる欣怡に疑問を投げかけることが出来ず心が締め付けられる。
「欣怡、早くこちらに来なさい…」
父がしびれを切らした様に発した声に欣怡は体を震わせて俺に目を合わせたまま後ずさりをした。父と何を――
俺の想像していたことが現実でなければいい。そう思いながら欣怡の後を追った。
「遅いじゃないか。何をしていたんだ?」
「あの…お父様…璃秦が…」
「息子の事は今は忘れなさい」
そういう父が人の気配を感じて移した視線の先に俺が居たことに気がついた。驚きを含んだ表情とバスローブを引っ掛けただけの服装で欣怡を抱きとめている。
「父上…欣怡と何を…」
「これはな‥お前に相応しい女かどうかを調べるつもりでな」
父の白々しい嘘に俺は明らかな殺意を向けた。兄も父も俺に黙って欣怡と肉体関係にあった。事実を受け入れるまでに時間はそうかからないだろう。
目の前で抱きしめられている欣怡はバツが悪そうな顔をして視線を逸らしていた。
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