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-番外編- 裏切者には天罰を
事実確認をする為に欣怡と父と兄と俺の4人でリビングへ集まった。兄と欣怡との関係はここ2ヶ月のことだが父との関係は一年前から続いていた。知らされた事実に俺は動揺が隠せない。
「ごめんなさい。璃秦。私…」
「璃秦、この女はお前が思ってるような綺麗な存在じゃない。ドラッグの為なら俺に股を開くような女だ」
兄が挑発するようにそういった。欣怡の謝罪の言葉は俺の心には届かない。推測が確信へと変わった。たとえドラッグの為とはいえ婚約者に黙って親族と肉体関係にあっていいはずがない。これは俺に対する立派な裏切りだ。父も兄もまた裏切り者だ。
もう誰も信用ならない。家族に裏切られたのだから。組織の組員も部屋の前に居る護衛も何もかも信用してはならない。彼らも必ず裏切る。俺には誰も要らない。
「ごめんなさい。ごめんなさい…」
欣怡の泣き崩れる姿も謝罪も何もかも偽りだ。この場をしのぐためだけの方便に違いない。やはり人は信用できない。こんな相手を婚約者に選んでしまった。俺には見る目がないのかもしれない。
三人を怒鳴りつけたり問いただしたりしなかった。冷静に彼らの話を聞き謝罪や言い訳を受け流し、心を閉ざすことにした。
地下牢に兄と父を鎖で繋いだ。そして少しずつ薬物投与を始めた。簡単に死なせはしない。欣怡の弱みにつけ込み行ったことはどう言い訳しても許されない。
食事も手で食べることは許さず、獣のように口で啜り舐めて食べるようにさせた。人としての尊厳や権利など放棄させ、少しずつそして確実に地獄へと突き落としていく。
俺にした裏切りへの報いは受けてもらう。どんなに懇願しても止めない。
「璃秦、お前のせいだ。俺より優秀なお前が…悪い」
「俺の才能に嫉妬して随分大きいことをしたな。そんなあんたには相応しい罰を受けてもらう」
家族だからといって手を緩めるつもりはない。裏切った組員にもっと酷いことをしてきた二人なら耐えられる筈だ。
ナイフを取り出して兄の爪に突き刺した。
「あああぁぁ――!」
「手の指はまだ9本。それが終われば足だ。あんたなら耐えられるよな。裏切り者の組員にさんざん罰を与えてきたんだから」
泣き叫び痛みに体を震わせ、それでも尚兄は己のおかした罪を認めようしない。俺が悪いの一点張りだ。
弟が優秀だったことで兄の面目丸潰れで、跡目継承権第二位になった腹いせに欣怡を好き勝手にしてきたのだろう。
それから何年も彼らへの罰は続いた。地下牢からの叫び声は地上には届かず消える。それでも彼らは死ぬことを許してもらえない。生き地獄を味わうことになった。
それが黒璃秦の復讐劇だった――
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