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第14話 与えられる恐怖
鷹翼のボス、レオの居所が掴めないまま一週間が過ぎたある夜のこと。風呂から寝室へ戻ると黒にベットへ引きずりこまれた。油断していたとはいえ、簡単に押さえつけられて避けることさえできなかった。
服をひん剥かれ一糸纏わぬ姿のまま、四つ這いにされた。拒否権などなく強制的にされてしまえば、抗うことができない。尻を高く突き出す姿勢は羞恥心を煽るのには充分だ。
「やめ…無理だ」
「貴様の制止など聞いてやらん」
黒はまるで聞く耳を持たず慣らしてもいない秘部に押し入ろうしてくる。痛みの伴う挿入に耐え切れず、垂れ下がっている黒の髪を引っ張った。
「貴様、煽ってるいるのか?」
「違う…やめ、痛い…」
今の黒はすこぶる機嫌が悪いようで眉間にくっきりとしわを寄せたまま、容赦ない行為を続けてくる。優しく抱いて欲しいとは言わないが痛いのは嫌だ。最中も後も困るのは俺だから。
どうしても制止を聞かない黒の腕に爪を立てた。俺ばかりが痛いのは気にくわない。
「なんだ。もっと痛くしてほしいのか?」
「ちが…なんで…やめてよ…」
「口の利き方がなっていない」
「…っ…痛いことは…やめてください…」
さらに不機嫌になられては収拾がつかなくなるので俺は素直に言い方を改めた。そうするとようやく凶器が秘部から出て行った。
一息つこうとした瞬間、視界が反転し組み敷かれた。黒の瞳は冷たくそして鋭い光を放っている。表情からは何も読み取れず、そのまま黒が触れてくるのを待った。
「痛いのは嫌か」
「痛いの好きな人いないだろ。誰だって嫌だ」
「快感だと言う者もいる」
ニヤリと口角を上げた黒に怖さを感じて逃げてしまいたくなった。だが獲物として捕らえられたら最後逃げ果せるなど不可能。
未だ知らない黒の情夫達と俺は何ら代わり映えない存在なのだろう。
「俺が悪くて痛いことされるならまだ納得できる。でも今の黒は違うだろ…」
「どう違う?」
「単純に…今のあんたは恐ろしいよ」
レオが見つからないことが腹立たしく八つ当たりするのは止めて欲しい。恐ろしく狂気じみた黒の片鱗を見ている気がして、怖くなった。
今はまだ制止を聞き入れてもらえたから良かったが、あのまま暴走されたら今頃どうなっていたことか。考えただけでも恐ろしい。
「そうだろうな。だがあれが本来の姿だ」
「…あんたが破壊の帝王と呼ばれる意味がわかった気がする」
なかなか普段垣間見ることのなかったが恐ろしい一面も持ち合わせている。それでもまだ俺は制止を受け入れてもらえているだけ幾らか好待遇なのだろうか。
黒が排除する対象と認識すれば躊躇なく引き金を引かれることだろう。
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